NASAの研究用コンピューター3 | スターフィールド ワールドデータ
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コンピューター端末

NASAの研究用コンピューター3

INTRODUCTION DATA

試作機を稼働させる時は気をつけてくれ。固定されていないものは固定し、研究者にポケットを空にさせ、宝石、時計などを外させろ

DATA

プロトタイプ・ドライブ


試作機を稼働させる時は気をつけてくれ。固定されていないものは固定し、研究者にポケットを空にさせ、宝石、時計などを外させろ


ドライブのコアにはかけがえのない標本が入っているし、全データに厳重な機密が求められている。全研究対象に細心の注意を重ね、絶対に情報をこの研究室から出してはならない





2149年2月12日


ラン・スー:グラヴ・ドライブプロジェクトに取り組んでた時、研究室には一度も入れてもらえなかったのに


ヴィクター・アイザー:今となっては大昔のことに思えるな。最近は気象衛星の打ち上げばかりだ


ラン・スー:まるで引退した気分だよ。さて、プロジェクト・デメテルについてだ。例の新しい気象パターンをもっと追跡するために、スキャナーの製造を手伝ってほしいということか?


ジュディス・タティエンヌ:ポールシフトが自然発生しつつあり、そのために重力の変動が発生し、従来のモデルが崩れ始めてるのかもしれないと思っているの


ラン・スー:どうしてスキャンの誤差をこれほど搾る必要がある?何を見つけようというんだ?


ヴィクター・アイザー:念のため... 確認しておきたいんだ。最近は特に何かをしているっていうわけでもないしな。栄光の日々は終わったんだ。歴史の遺物にされてしまう前に、挑戦してみようじゃないか







2149年8月21日


ジュディス・タティエンヌ、ヴィクター・アイザー、ラン・スーへ


要請に従って、君たちが提供してくれたデータは天体物理学研究チームが詳細分析を行った。地球磁気圏の観測結果を見ると、何らかの変動が起きていることは明白だ。特に、月から放出される重力波が高頻度で急激に強まる時期との相関が見られる。


この重力波は地球の内核から生じている磁気シールドに影響を及ぼしているようだが、放出源からの近さを踏まえると、内核自体にも影響を与えている可能性が高い。そして、この変動率は指数関数的に上昇していることがデータから読み取れる。


我々の磁気圏が弱まるということは、太陽風から我々を保護する能力が弱まることを意味する。これは太陽放射による壊滅的な被害だけでなく、もっと恐ろしい―地球の大気の一部が吹き飛ぶ、下手をすると完全に剥ぎ取られてしまうようなことになりかねない。これは以前、火星でも起こったことだ。火星は地球の未来を見通すため、宇宙の最初期から研究されてきた惑星だが、我々はこの未来がこれまで想像してきた以上に近く訪れるのではないかと懸念している。


このデータに異常はないと見る者もいるかもしれない。地球の内核における歴史的な変動や極性の変化はこれまでもあったが、これは桁違いの規模だ。前の世代における地球温暖化をめぐる議論を見ているようだが、現代の科学は明らかなものであってほしい。この重力波は海の波のようにその高さを増し、いずれ海岸、つまり地球に押し寄せる。壊滅的な結果を伴って。


ART主任研究員

ルーク・アンドリュー博士





2149年8月22日


ジュディス・タティエンヌ:自分が何を目にしているかわかっているわ、ヴィクター。衛星から戻ってきているデータも明白。グラヴ・ドライブのせいよ


ラン・スー:月からさんざんジャンプを繰り返したからだ。この勢いだと、地球の大気が宇宙に吐き出されてしまう


ヴィクター・アイザー:ドライブを修理できないか?


ラン・スー:燃料ポンプへの緊急アップデートに見せかけて、問題を... 表沙汰にせずに解決する作業に取り掛かっているところだ


ジュディス・タティエンヌ:地球の終末の話だというのに、あなたはそれを隠そうとしてるの?


ヴィクター・アイザー:ジュディス、何より避けるべきなのは人々がグラヴ・ドライブ技術への信頼を失うことだ。我々の唯一のオプションかもしれない


ジュディス・タティエンヌ:何のための? 本気で地球を捨てようと言っているの?


ラン・スー:期限は50年以内だ。惑星からすれば瞬く間だが、人類が脱出するには十分な期間だ


ジュディス・タテイエンヌ:で、人々にはなんと説明するの?


ヴィクター・アイザー:神の御業だというのさ。科学がもう解決策を見つけてあると。人類が宇宙へと歩を進める時がきたとね


ジュディス・タティエンヌ:知っていたのね? そうでしょう。騙してたのね!


ヴィクター・アイザー:私は...


ジュディス・タティエンヌ:ずっと今まで!私はこの発見に人生を捧げてきたのよ、ヴィクター!それなのに、あなたは我々が惑星を殺してしまうと知っていた!


ヴィクター・アイザー:君は私が見た未来をまだ見ていない!宇宙には、可能性が無限に広がっているんだ。地球は隕石にやられていたかもしれない。疫病にやられたかも、いや世界大戦かもしれない。他の銀河を植民地化すれば永遠に、今後の世代のためにも人類の未来を時を越えて確保できる!


ジュディス・タティエンヌ:私たちの故郷を犠牲にしてね!


ラン・スー:やめるんだ! 2人とも! 重要なことは人々が惑星から脱出できるのに十分な船を建造することだ。それは、今から始めなければならない



ヴィクター・アイザー:私は... 声明を準備しよう。全国際コミュニティに報せねばならない。すまないジュディス...


ジュデイス・タティエンヌ:あなたの側にいたくない。宇宙の最果ての惑星に行ってなおまだ距離を取りたいくらいよ。あなたとは二度と口をきかないわ







2160年9月8日


私の名前はドクター・ヴィクター・アイザー。これを聞いている君は、すでに真実をご存知だろう。火星で発生した奇妙な重力異常。その復旧チームのトップに就在した時、私はまだ若かった。だがあの日の真実は、これまで誰にも話していない... ある人物を除いては。彼女ですら、初めは信じてくれなかった。だが、今の私に嘘をつく理由などない。君が何者であれ、どうかこの... 懺悔を聞いてほしい


あの重力異常に触れたとき、驚くべき体験をした。時間にして12日間。私は... 自分自身に出会ったのだ。彼が話してくれた内容は、すべて現実となった。グラブ・ドライブの方程式。月での試験。我々の行いが原因で起こった、地球の大気流出。だが彼は、遠く離れた惑星の、ある街の話もしてくれた。人間の文化、芸術、音楽、生活様式などが進化し、宇宙全体で繁栄を極めているというのだ


そんな未来が手に入るのなら、私はどんな代償でも支払うだろう


信じてもらえないかもしれない。ジュディスが正しかったのかもしれない。私は過ちを正当化したいだけの臆病者なのかもしれない。だが、グラブ・ドライブの... あの火星のアーティファクトの真の起源を、忘れてしまってはいないだろうか


君が私よりも上手く活用してくれることを願う





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