top of page
錠前の設計と製造
錠前の設計と製造
私はこれまで、何人もの泥棒と出会ってきました。彼らにとって錠前とは、それが守っている部屋や箱の中身を盗むために破るものでしかありません。私は彼らと関わった経験を生かし、こうした悪意を退けることのできる錠前の構造を考案しました。
錠前を作るとき、もっとも重要なのは素材です。安物の真鍮や銅でできた錠前はちょっと強く蹴られたらすぐ壊れてしまうので、役にたちません。よい素材としては、鉄よりも鋼鉄をおすすめします。それよりも強固な素材となると、値段も高くなるし、扉自体も同じような素材で作る必要がでてくるでしょう。私などは、木箱の小さな錠はかかったまま、箱の部分をばらばらに壊されて悔しい思いをした経験があります。
こうした基本的なことが決まったら、次にタンブラーの片寄りに注目しましょう。鍵穴に対して7度の片寄りを与えておくと、ねじれによって鍵が滑らかに動きます。まっすぐなピックで錠前を破ろうとする泥棒にとって、こうしたねじれのある鍵穴は頭痛の種です。
同じように、タンブラーのばねの部品はそれぞれ違った職人の作ったものを使うとよいでしょう。職人によって、ばねの弾力の強さは違います。こうした違いが、錠前を破りにくくするのです。
読み上げ動画付き書籍
bottom of page