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本物のバレンジア 第5巻




本物のバレンジア 第5巻

著者不明




シムマチャスの予言どおり、混沌の杖を盗まれたことによる後遺症は思いのほかあとを引いた。皇帝ユリエル・セプティムはいっそう改まった手紙を書いてよこし、杖の紛失にはがっかりさせられ不満を感じているとの意を表した。シムマチャスは全身全霊をささげて杖のありかを突き止めるよう促された。新たに着任した帝国の魔闘士、ジャガル・サルンの指揮のもと、進捗状況について密に連絡を取り合いながら捜索を進めるようにとのことだった。


「サルンめ!」シムマチャスはうんざりしたように怒鳴った。いらいらしながら小部屋をうろついていた。妊娠数ヶ月のバレンジアはおだやかな面持ちで赤ん坊のための毛布に縫い取りをしていた。


「あの人のどこが気に入らないの?」


「あんな卑劣なエルフは信用できん。ダークエルフとハイエルフの他にどんな血が混じっているのかわかったもんじゃない。あちこちの種族から最低品質の血だけを受け継いだにちがいない」シムマチャスは鼻を鳴らした。「誰もあいつのことをほとんど知らない。ヴァレンウッド南部の生まれで母親はウッドエルフだということ以外はな。しかもあの神出鬼没ぶりときたら…」