フェンリクの日記
かつてアザレインが私に言ってくれた。お前こそタムリエル最強の戦士なのだと。だが、それは嘘だ。
私が強ければ、とっくの昔に自らの命を断っていたはずだ。ステンダールの裁きをその魂に下していたろう。私は弱い。だから生きながらえている。
番人は吸血鬼が穢れだと教えている。容赦なく滅ぼさねばならないと。だが臆病ゆえに、私は冒涜的な考えを弄ぶようになった。すなわち吸血症に治療法があることだ。
そういった考えが番人の間で取沙汰されたことはない。結局のところ、奴らに救いがあるという考え自体が組織の原則を脅かすからだ。だからさらに学ぶため、私は敵対することを誓った怪物の力を借りることにした。
モラグ・バルの代償は高かった。従徒を集め、ドーンスターの鉱山奥深くに祭壇を築かされたが、その目的が明らかになったのは幾つもの夜が過ぎてからだった。その祠で、私は9人の仲間を生贄に捧げねばならなかった。それぞれの神に対する供物として。
時には決意がくじけそうになったが、王子はガラー・リサリという形で証拠を見せてくれた。彼の抄録が治癒の存在を証明している。「何千という小さなナイフに体内から切り裂かれる」という夢だ。街で悪夢とヴァーミルナの存在がささやかれるようになり、なぜドーンスターがこの穢れた番人のために選ばれた理由が分かった。
残る生贄が3人となり、儀式は間もなく完成する。アザレインがこれを裏切りとみなすのは確実だ。だからこそ、彼を自分の手で生贄に捧げられない。だが番人が我々の手で死ぬたび、私の決意は固まっていった。私の精神的な弱さは意志の強さを裏切りはしない。
我が臆病さゆえに、私は12人の人々の魂の価値を持つ。私が番人に再び加わったら、最終的にはより多くの人々が救える。
帳尻合わせが済んだ時、ステンダールも慈悲を施してくださるかもしれない。