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ヴァイパースの日記



この間、僧兵でいっぱいのキャラバンを仲間と襲ったんだ。ちょろいもんだった。もっともお宝もなかったけどよ。でもある僧兵がおしゃべりでね。ナイフを喉元に突きつけたらニルンルートみたいに歌いやがった。


馬車に秘密の隠し場所があると言ってね。開けてみると、見たこともないようなピカピカの武器と鎧が出てきた。目を細めるくらいまぶしい代物だ。


野営地に戻ってまずやったのは、ブーツを試すことだった。おかしなことに、サイズが合わない。ぴったりだと思ったのに。だがレミーが笑って横取りした。本物の鎧を着れるのは本物の戦士だけだとかほざいてやがった。


冗談はさておき、あいつにもサイズが合わなかった。やがて仲間がみんな試し始めたが、どの部位もどのサイズも着ていられない。一瞬だけ着られた奴もいたが、すぐに顔が真っ青になった。


鎧だけじゃない。武器を振ると気持ちが悪くなる。まるで武器が振ってほしくないみたいだ。


だから万策尽きて、みんな焚火のそばに座りこんだ。するとオレンという新入りが、エイゴーンという親戚に鎧を試させることを思いついた。みなが笑った。


そいつは仲間でもなく、襲撃にくっついてきただけのケツの青いガキだ。オレン同様、まだ人を殺したこともない。だがたまげたね。ガキが試したら、見事にブーツが履けちまった。


「これでエイゴーンも仲間になったってことだな」とオレンが言ったが、ガキは首を縦にふらなかった。なんとそいつは、仕事をしたくないんだとさ! 山賊になるのもごめんだとよ。


だからオレンに言ったんだ。俺たちと一緒に戦うか、喉を掻っ切られるかだと。本当にやってやろうとしたら、オレンの裏切者め。例のデカくてピカピカのメイスを手に取って、俺の頭をふっ飛ばそうとしやがった。


幸運にも、他の連中のおかげで頭蓋骨が粥になることは避けられた。だがその時、オレンに鎧を着せることを思いついたんだ。そして九大神にかけて、そいつもあの野郎にぴったりだった。


それでこうなった。奴らは命令に従ってはいるが、これっぽっちも信用していない。鎧のことだけじゃない。オレンはここのところ、わけのわからないことをほざいている。相手を見逃してやろうとか抜かすんだ。目撃者だって言うのに。


レミーは奴らに鎧を着せてコケ脅しに使えばいいという。後の仕事は仲間がやればいいと。だがそうはいくか。奴らを試してやる。戦いになった時、隣の奴が必要なら殺す覚悟があるのか知っておかなきゃならない。


そしてどちらかが断ろうものなら、2人とも殺してやる。



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