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キャシヴァルのメモ
人は人生の中でいくつもの顔を持ち、いくつもの名前で呼ばれることになる。息子、父親、逃亡者、山賊。そこに「アルゴニアンの作家」という呼び名が加わることになるとは思ってもみなかったが、世の中とはそういうものだ。
ペラディウスに文章の書き方を教わった時は、これほど没頭すると思わなかった。神々が剣の代わりにペンを授けてくれていたら、キャラバンを襲う代わりに本を書いて、人生を費やしてたかもしれない。まあ今更愚痴っても無駄だが。
作家名の由来は、ある晩にコロールのグレイ・メア亭で「青白き目」と話していた時のことだ。アルゴニアンの名前はなぜそんなに逐語的なのかと「青白き目」に尋ねると、こう言われた。「なぜ君のは違うんだ」
一理あると思い、私は笑った。そして私にふさわしいアルゴニアンの名前をつけてもらうよう頼んだ。
そうして私は「ゴールドを集める者」となったのだった。
アルゴニアンの名前の面白いところは、その名前が当時の私を指していたものなのか、あるいは私が目指していた人物を指していたのかわからなかったことだ。今となっては、そんなことなどどうでもいいが。私はゴールドを持つことなく、この塔で死ぬだろう。だが少なくとも書き続けていれば、人々に我々の物語を知ってもらい、かつて我々が生きていたことを知ってもらえるだろう。
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