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ソロンの日記 - 第3巻



第四紀201年 南中の月5日


あの剣の血の渇きは使えるかもしれない。あの切りたいという欲望は橋と成り得る。道を切り開いてくれる。だが、決して傷を悪化させてはならない。折れた骨は、治ればさらに強くなる。




第四紀201年 南中の月18日


また別の幻影が見えた。灰の中の長い行進だ。いびつな形の喉に押し付けられた靴が音を立てている霧の中で笛が鳴り、時を告げる。


剣が大地に突き刺さる。混沌が叫び、血を流す。その心臓を通して、根が伸びてゆく。傷口から木が伸びる。そして道が開かれる。




第四紀201年 南中の月1日


傷あとが固まり、根が太くなる。傷口から血が流れるが、流れは阻まれている。魚が上流に向かって泳ぐ。


あの道は私のためのものではないかもしれない。あの道は剣のためのものだ。心の杯を満たすため、川は源から口へ流れなければならない。




第四紀201年 収穫の月16日


一時的に聴力が失われる。暖炉でパンが焼かれている。我々は手を伸ばして深淵を掴むが、手放す。先に歯を食いしばって泥に顔を突っ込む。ガラスの目を通して光が曲げられる。我々はなんと簡単に失われてしまうのだ! 暗闇の中に赤い翼で啓示が舞い上がる。あらゆる窓枠の側面を雨が流れ落ちる。




私はマニアに向かいなどしない。




私はマニアを引き寄せる。



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