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セロナスの告白
第四紀171年 暁星の月7日
息子よ。私はもう長くないが、冬の夜に抱きしめられる前に、長年にわたって心の重荷となっていたある大きな後悔について告白したいと思う。
これはもう昔の話だが、我々兄弟は、闇の力を持つ、ある反逆者の隊長を追い詰めて捕らえるよう命じられた。その男はかつて誇り高き軍人だったが、強力な秘宝によって堕落し、悪に染まってしまっていた。我々は任務を果たしたが多大なる犠牲を強いられ、なんとか生き残ったのは私だけだった。
しかし、この冒険から長い年月が経過する中で、彼を捕らえた行為も同様に邪悪なものだったのではないかと考えるようになった。なぜなら我々兄弟はお互いの付呪によって、彼を永遠の苦悩へ縛り付けてしまった。彼を狂気へと至らしめた元凶、すなわち秘宝そのもののガーディアンとして縛り付けてしまったのだ。どれだけ切望していようと、彼は生きている限りその強力な武器を、手放すことができないのだ。
かつての偉大なる人物にとっては、残酷な運命だ。悲しみと怒りによって堕落や悪意に晒されてしまうまで、彼は偉大なる人物だったのだから。実に悲しい話だとしか言いようがない。
長い年月を経て、私は真実へたどり着いた。自分の過ちを正し、彼を苦悩から解き放ちたいと願っている。だが悲しいかな、いくら願ったところでもう手遅れだ。だから我が息子よ、私の代わりに、お前がこの願いを果たしてくれることを祈っている。
父からの最後の願いだ。どうか彼を見つけ出し、解き放ってやってくれ。
父
セロナス
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