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タイバー・セプティム

Tiber Septim

タムリエルを統一し、第九の神タロスとなった皇帝

タイバー・セプティム(Tiber Septim)

タイバー・セプティムは、第二紀末にタムリエルを統一し、セプティム朝を開いた第三帝国の初代皇帝である。スカイリムの街角で人々が祈りを捧げる神タロスは、この皇帝が死後に神々の一柱に加わった姿とされる。「タロス」という名は生前から彼と結びついており、かつて兵士たちが戦場で仰いだ将軍と、後世の人々が祠に祀った神は、同じ名で呼ばれている。

その生涯には不思議な落差がある。タムリエルを統一した年も、孫に譲られた帝位の行方も記録されているのに、本人がどこで生まれたかについては伝承が一致しない。皇帝をたたえる頌歌と、宮廷が隠した過去を語る書物とでは、若き日の名前も、戦場で彼を包んだ嵐の正体も異なる。


アトモーラのタロスと、アルカイアのヒャルティ

『帝国のポケットガイド』初版のシロディール篇に収められた頌歌は、タロスが北方の大陸アトモーラで生まれ、海を渡ってスカイリムで育ったと歌う。同書によれば、タロスとは古いエルノフェイの言葉で「嵐の冠」を意味する。若者はノルドの戦士たちから戦い方と声の力を学び、二十歳でオールド・フロルダンの攻略を率いた。

やがて山に住むグレイビアードが沈黙を破ろうとすると、麓の住民はその声を恐れて避難した。タロスは反対に山を登り、賢者たちから南へ向かうよう告げられたという。ここで「声」すなわちスゥームは、敵を打ち倒す技であると同時に、若い将軍がタムリエルを治める運命を示すしるしでもある。『Skyrim』でグレイビアードが新たなドラゴンボーンを山へ招く場面は、この古い伝承を思わせる。

一方、『アークチュリアン異教』は、後の皇帝をハイロックのアルカイア出身のヒャルティ・アーリービアードと呼ぶ。オールド・フロルダンでヒャルティを包んだ嵐には、古代ノルドの王ウルフハースが関わっていたという。帝国の頌歌では一人の英雄に宿っていた力が、こちらでは後世に功績を語り継がれた者と、その陰で彼を助けた者とに分かれている。アルカイア出身という記述だけで、本人の種族まで確定することはできない。

『Skyrim』の宿屋オールド・フロルダンには、この異説には触れずともヒャルティの名に出会える場面がある。皇帝ゆかりと伝わる寝台で一夜を過ごすと、昔の戦友を待つ亡霊が現れ、主人公をヒャルティと呼んで約束の剣を求める。帝国史に残ったのは皇帝の名だが、かつて隣で戦った兵士が覚えているのは若き日の呼び名である。


サンクレ・トールで敵兵が忠誠を誓った理由

タロスが将軍として仕えたのは、シロディール西部のコロヴィア諸領をまとめようとしていた王クーレケインである。第二紀852年、スカイリムとハイロックの連合軍がシロディール北部の山岳要塞サンクレ・トールに陣取った。冬の堅城を前にしたタロスは、敵の主力を要塞の外へ誘い出し、手薄になった城内を攻めた。

この戦いは、勝利の後にタロスの軍勢がかえって大きくなったことで知られる。捕虜となったノルドの指揮官や兵士たちは、声の力を振るうタロスに自分たちの伝承が告げる王の姿を認め、彼に忠誠を誓った。一方、ブレトンの戦闘魔術師の指揮官たちは処刑された。後の伝承は、この地でタロスがレマン三世の墓から王者のアミュレットを得たとも伝える。サンクレ・トールには、失われた旧帝国と、これから生まれるセプティムの帝国を結ぶ物語が幾重にも残された。


主君の暗殺と皇帝即位

第二紀854年、クーレケインが暗殺された。帝国側の記録では、西リーチから忍び込んだ暗殺者が王を殺し、宮殿に火を放ち、タロスの喉を切り裂いた。焼け跡から現れた将軍は、片手で喉を押さえ、もう一方の手に亡き主君の冠を携えていたという。生き延びた彼はタイバー・セプティムの名で帝位に就いた。即位は大陸統一より四十年以上も前の出来事である。

『アークチュリアン異教』が語るのは、これとは正反対の継承劇だ。同書はヒャルティ自身が主君を殺し、喉の傷も偽装のために自ら負ったと主張する。帝国の頌歌で忠節の証しに見えた傷が、こちらでは簒奪を隠すための傷となる。どちらの語りを採るかで、皇帝が王冠を手にした場面の意味は一変する。


タムリエルの統一は各地でどう進んだか


ハンマーフェルとストロス・エムカイ


ハンマーフェルでは、レッドガードの二大勢力であるクラウンとフォアベアの対立に帝国が介入した。帝国軍はストロス・エムカイを占領したが、現地に置いた総督による支配は長続きしなかった。『The Elder Scrolls Adventures: Redguard』では、サイラスたちの蜂起が占領軍を打ち破り、タイバーはレッドガードとの和平に応じる。帝国領に加わったハンマーフェルの側にも、抵抗によって統治の条件を変えた歴史がある。これは、第四紀にハンマーフェルとアルドメリ自治領が結ぶ「ストロス・エムカイの二次条約」より何世紀も前の出来事である。


モロウウィンドとトリビュナル


モロウウィンドでは、軍事衝突の末に、生ける神々トリビュナルの一柱ヴィベクと帝国側との間で休戦が成立した。モロウウィンドは帝国の一部となる一方、大神殿の信仰や大家の制度など、在来の秩序を広く保った。第三紀のモロウウィンドで、帝国の砦とダンマーの大神殿がそれぞれ権威を振るっている背景には、この取り決めがある。


サマーセットと真鍮の巨人


モロウウィンドとの和平に結びつけて語られるのが、古代ドゥーマーの造った巨大な人造物ヌミディウムである。タイバーの宮廷戦闘魔術師ズーリン・アルクタスはこの巨人の研究に携わり、帝国は「マンテラ」と呼ばれる動力源を得た。アルトマーの本拠サマーセットに対して投入されたヌミディウムは、タイバーの征服を決定づけた。

マンテラが誰の力を宿していたかについては証言が食い違う。『アークチュリアン異教』では、帝国に呼び戻されたウルフハースに罠が仕掛けられ、魂を捕らえようとしたズーリンも命を落とす。後から現れたタイバーは魂石を手にし、元老院にはズーリンが反乱を企てたと伝えたという。この顛末は、大陸統一の裏に置き去りにされた協力者たちの物語として、帝国の年代記とは別に伝わっている。


第三紀の始まりと、セプティム家の継承

帝国の歴史書『帝国の略歴』第1巻は、統一年を第二紀896年とし、その翌年を第三紀0年と記す。新しい紀年法の起点になったのはタイバーの誕生でも即位でもなく、タムリエルが一つの帝国のもとに入ったことである。

タイバーは第三紀38年に没した。同書は、崩御の後には二週間も雨が降り続き、大地そのものが皇帝を悼むかのようだったと伝える。帝位に就いた孫ペラギウス一世は、即位から三年もたたないうちに暗殺された。子がいなかったため、皇位はタイバーの兄弟アグノリスの娘キンタイラ一世へ移る。「セプティム朝」はその後も続くが、歴代皇帝の全員が初代皇帝の直系の子孫だったわけではない。


第九の神タロスと、皇帝の鎧に残った血

帝国の信仰では、死後のタイバーはタロスとして八大神に加わった。ここから、アカトシュやアーケイとともにタロスを数える「九大神」という呼び方が生まれる。人として生まれ、兵を率い、死を迎えた皇帝であることは、タロスの信仰にとって特別な意味を持つ。

『Oblivion』では、その教義が一着の鎧をめぐって物語の中心に現れる。マーティン・セプティムが敵の領域へ道を開く儀式には、神の血が必要だった。そこでブレイズが思い出したのが、生前のタイバーが着用し、サンクレ・トールに納められた鎧である。かつて戦場で傷を負った人間の血が、何世紀も後には神の血として役割を果たす。皇帝とタロスの関係を、プレイヤー自身が遺物を手に取ってたどる場面である。


なぜスカイリムでタロス信仰が争われたのか

第四紀175年、皇帝タイタス・ミード二世は、アルドメリ自治領との大戦を終わらせるため白金協定を結んだ。その条件の一つがタロス崇拝の禁止だった。かつて大陸を征服した皇帝を神と認めるかどうかが、今度は帝国が戦争を終えるための外交条件となった。

第四紀201年の『Skyrim』では、その矛盾をホワイトランの街中で目にすることができる。ドラゴンズリーチへ上る階段の下には今もタロス像が立ち、司祭ヘイムスカーが行き交う人々に教えを説いている。一方で、サルモールの執行官は協定に基づいて礼拝者を取り締まる。ウルフリック・ストームクロークが掲げる信仰の自由は、帝国からの独立を求める人々を結びつけた。帝国を築いた人物の名が、その帝国から離れようとするノルドの旗印にもなったのである。

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