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レッドガード

Redguard

海を渡り、失われたヨクーダの剣を継ぐ民、レッドガード

レッドガード(Redguard)

レッドガードは、西方大陸ヨクーダから海を渡り、タムリエル西部のハンマーフェルに新たな故郷を築いた人間の民族である。その名の由来は、移住の先陣を切った戦士たちを指すヨクーダの言葉「ラ・ガーダ(Ra Gada)」。おおよそ「戦士の波」を意味する。かつて海岸に押し寄せた先遣隊の呼び名が、やがて後に続いた人々とその子孫をも指すようになった。

タムリエルでは剣の達人として名高いが、失われた故郷から受け継いだものは武芸だけではない。船乗りたちは祖先の航海を導いた風の神に祈り、王家は海の向こうにあった古い王国にまで自らの由緒をたどる。今日のハンマーフェルにも、ヨクーダを記憶するいくつもの方法が息づいている。


海に沈んだ故郷ヨクーダ

ヨクーダにはかつて複数の国があり、その王たちは「ナ・トタンブ(Na-Totambu)」と呼ばれる評議会を構成していた。ゲーム内書籍『The Na-Totambu of Yokuda』が失われた文明の業績として挙げるのは、冶金、農業、そして造船である。ヨクーダの剣が語り継がれた一方で、それを鍛えた人々の技術には、後のハンマーフェルでも再現できなくなったものがあったという。

第一紀、ヨクーダの大部分が破局に見舞われ、海に沈んだ。その原因をめぐっては、敗れた剣士たちが故郷を破滅させたという伝承もある。確かなのは、この災厄を境に、多くのヨクーダ人が東の海に活路を求めたことである。航海の記憶は宗教にも残った。風の神ターヴァ(Tava)が一行をハーン島(Herne)へと導いたという物語は、後の時代の水夫たちにも親しまれている。


ラ・ガーダとハンマーフェルへの定住

『帝国のポケットガイド』は、第一紀808年ごろに移住者たちがハーン島に拠点を置き、戦士たちがそこからタムリエル本土へ進んだと伝える。ラ・ガーダの役割は、後から渡ってくる王族や民が暮らせる土地を確保することだった。

移住先にはすでに人々が暮らしていた。レッドガードの祖先は各地で先住の集団と戦い、その拠点を奪いながら勢力を広げている。ヨクーダを逃れた人々にとっての建国は、土地を追われた側にとっては征服だった。やがて沿岸には海の交易で栄える都市が育ち、アリクル砂漠では、乾燥した内陸を移動して暮らす部族が独自の習俗を守った。


クラウンとフォアベアは何が違うのか

レッドガードの社会には、クラウン(Crowns)とフォアベア(Forebears)という二つの大きな派閥がある。両者はともにヨクーダを祖国としながら、ハンマーフェルを治める根拠を、それぞれ異なる祖先の功績に求めた。

派閥

歴史的なよりどころ

文化と政治の傾向

クラウン

ヨクーダの王侯層ナ・トタンブの系譜

王家の継承と古い祭祀を重んじる。古都ヘガセ(Hegathe)はその代表的な拠点。

フォアベア

渡来の先陣を担い、本土を征服したラ・ガーダの系譜

祖先が自ら切り開いた土地への権利を重んじる。沿岸の交易を通じて、ブレトンや帝国の制度・信仰も取り入れた。

この違いが政治制度にはっきり現れたのは、第二帝国の統治下である。クラウンは貴族の評議会における権利を保ち、フォアベアの戦士層は部族の領地に対する所有権を認められた。帝国の権威が衰えて世襲王政が復活すると、王座は古都ヘガセから、フォアベアの交易都市として栄えたセンチネルに移された。一つの都市にヨクーダ以来の王権とイリアック湾の商業力が同居したのである。


剣聖アンセイと、心から生まれる剣

ヨクーダの武芸でひときわ名高いのが、ソードシンガー(Sword-Singer)の伝統である。その達人はアンセイ(Ansei)、すなわち「剣聖」と呼ばれた。剣聖の奥義を象徴するのがシェハイ(Shehai)である。使い手が自らの精神を刃として形にするため、鍛冶場の火も鋼も要らない。

その体験を本人の言葉で伝えるのが、第一紀の剣聖マケラ・レキの「記憶の石」である。彼女が思い描いた刃は、蛇と薔薇のつるが絡み合う姿をしていた。石に残っているのは勝利の記録ばかりではない。戦いで負った傷の痛みを、後からこの記憶に触れる人にまで味わわせまいと、意識の奥に押しやる彼女の思いも刻まれている。

彼女が心の支えに挙げたのが、先人フランダー・フンディング(Frandar Hunding)の『Book of Circles』である。剣の道を文章に託したフンディングと、その教えを戦場で思い起こしたマケラ。二人の記録からは、レッドガードの剣術が、師から弟子へ、書物から読み手へと受け継がれる学問でもあったことがうかがえる。


星、海、死後の岸辺をめぐる信仰

ヨクーダの神話では、世界にはいくつもの終わりと始まりがある。世界を呑み込む存在がサタカル(Satakal)であり、その周期を越える道を見いだしたのがルプトガ(Ruptga)である。夜空の星は、小さな精霊たちも道を見失わずに済むよう、ルプトガが天に置いた目印だと伝えられる。

人の魂が死後に向かう先は「遠い岸辺(Far Shores)」と呼ばれる。そこへ至る魂の世話をするのがトゥワッカ(Tu’whacca)である。生きた祖先の船旅をターヴァが導き、亡くなった人々の旅をトゥワッカが導く。ハンマーフェルの港にターヴァの祠が多いのも、風待ちをする船乗りにとって、祖先を救った神が今も身近な存在だからである。

祖先への敬意は、意外なところにも表れる。『The Elder Scrolls Online』のアリクルでは、死霊術で立ち上がった同胞の遺体にさえ、手を下すことをためらう者がいる。その役目を引き受けてきたのがアシャバー(Ash’abah)である。死者がよみがえれば助けを求められる一方、平時には人々から距離を置かれる。彼らの境遇には、祖先の亡骸を傷つけることが、土地の人々にとっていかに重い禁忌かが表れている。


帝国との戦いから自治領への抵抗まで

第二紀862年、サッサド2世(Thassad II)の死を機に、センチネルをめぐる争いが激化した。王子アトール(A’Tor)はクラウン側に立ち、フォアベアはタイバー・セプティムに援軍を求める。帝国艦隊はストロス・エムカイ沖で王子の軍を破り、島には帝国の統治が敷かれた。この占領下の島をレッドガードの冒険者サイラスの目を通して歩くのが、『The Elder Scrolls Adventures: Redguard』である。

それから数百年後、かつて敵対した両派が手を結ぶ出来事が起きる。第四紀171年に始まった帝国とアルドメリ自治領の大戦で、クラウンの都市ヘガセは自治領軍の包囲を受けた。救援に駆けつけたのは、かつて王位をめぐって争ったセンチネルのフォアベアだった。ゲーム内書籍『大戦』は、包囲を破ったこの援軍が、長く反目してきた両派の和解につながったと記している。

第四紀175年、皇帝タイタス・ミード2世は白金協定を結び、自治領との戦争を終えた。ところが協定には、ハンマーフェル南部の領土を譲り渡す条項があった。現地のレッドガードはこれを拒み、皇帝はハンマーフェルを帝国の属州から切り離す。彼らはさらに五年間戦い続け、第四紀180年の「ストロス・エムカイの二次条約」で自治領軍は撤退した。南部には戦争の深い傷痕が残ったが、その土地の行く末を決めたのは、帝都の皇帝ではなく、そこに暮らす人々自身だった。

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