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オブリビオン

Oblivion

オブリビオンの門の先には、いくつの世界があるのか。

オブリビオン(Oblivion)

オブリビオンとは、定命の者が暮らす世界ムンダスの外に広がる、無数の異界の総称である。タムリエルの歴史でひときわ恐れられてきたのは、メエルーンズ・デイゴンの軍勢が押し寄せた灼熱の地、デッドランドだ。しかし、同じオブリビオンには、アズラが暮らす花と滝の世界も、ハルメアス・モラが秘密を集める果てしない書庫もある。「オブリビオンの門をくぐった」と聞いただけでは、その人がどんな空を見たのかさえ分からない。


タムリエルから見たオブリビオンの位置

タムリエルはニルンという星の上にある大陸であり、そのニルンを含む定命の世界をムンダスと呼ぶ。オブリビオンは、このムンダスと境界を隔てて存在する。ムンダス、オブリビオン、そして魔力の源とされるエセリウス(Aetherius)までを含んだ宇宙全体が、オービス(Aurbis)である。

タムリエルから海を渡れば、同じニルンにある別の陸地へ着く。オブリビオンへ渡るには、世界どうしを隔てる境界に通路を開く必要がある。だからこそ、シロディールの城門のすぐ外が灼熱の戦場につながることも、ソルスセイムの遺跡で開いた一冊の本が異界の書庫への入口になることもある。旅先を決めるのは地上で進んだ方角よりも、どの領域と結ばれた入口を選んだかである。


デイドラと、その主が形づくる世界

デイドラはオブリビオンを本来の住みかとする存在である。そのうち、とりわけ強大で、破壊、支配、狂気、知識といった固有の領分を持つ者たちをデイドラ公(Daedric Princes)と呼ぶ。デイドラ公の領域では、その主の性質が天候や地形、そこに暮らす者の日常にまで表れる。モラグ・バルの土地には鎖につながれた捕虜がおり、シェオゴラスの都では狂気の異なる側面が宮廷まで二分している。

タムリエルの召喚術師が呼び寄せる精霊やドレモラもデイドラに含まれる。作中の魔術書『Chaotic Creatia: The Azure Plasm』によれば、ムンダスでデイドラの肉体を倒すと、その本質は故郷の領域に送り返され、やがて新しい肉体を形づくる。戦場で一体を討つことと、後続の軍勢を送り出す門そのものを閉じることには、まったく異なる意味がある。

代表的な領域と、旅人が見たもの

領域

結びつきの深い存在

景観と特徴

デッドランド(Deadlands)

メエルーンズ・デイゴン

溶岩の海から黒い塔が突き出す破壊の領域。『TES IV』で門をくぐった英雄がたどり着く。『ESO』では、絶えず嵐が荒れ狂う一帯も描かれる。

コールドハーバー(Coldharbour)

モラグ・バル

支配と隷属の領域。魔術師ゼナスは凍てつく大気の中で、帝都の宮殿を思わせる建物を目撃した。よく知るニルンの風景が、征服された後の姿で現れたかのようだったという。

シヴァリング・アイルズ(Shivering Isles)

シェオゴラス

鮮やかな色彩に満ちたマニアと、陰鬱なディメンシアに分かれる狂気の領域。都ニュー・シェオスには両者の宮廷があり、訪問者は住民の暮らしや政治にも巻き込まれる。

アポクリファ(Apocrypha)

ハルメアス・モラ

書物が塔のように積み重なり、黒い液体の中から触手が伸びる知識と秘密の領域。『Skyrim』の「Dragonborn」では、黒の書を開いたドラゴンボーンが、その本と結びついた区画を探索する。

ムーンシャドウ(Moonshadow)

アズラ

探訪記『オブリビオンの扉』に、花々、滝、銀の都があると記された領域。ゼナスには色彩がにじむほどまぶしく、景色をくっきり見渡すことさえ難しかった。

ソウル・ケルン(Soul Cairn)

アイディール・マスター

捕らわれた魂がさまよう薄紫の荒野。『Skyrim』の「Dawnguard」では、吸血鬼ヴァレリカがここの支配者と取引し、魂を差し出す代わりに隠れ場所を得ようとした経緯が明かされる。

ファーグレイブ(Fargrave)

デイドラと定命の住民

複数の領域へ門が通じる交易都市。市場では定命の者とデイドラが品物を売買し、門の集まる広場からはデッドランドの異なる地域へ渡ることもできる。

オブリビオンへの門はどうやって開くのか

ゲーム内書籍『境界の橋』(Liminal Bridges)には、印石(Sigil Stone)を用いてムンダスとオブリビオンを結ぶ術が記されている。術者は特別な鉱物を儀式で清め、デイドラの主に印を刻ませる。両者が交信して術を発動すると、石は印が刻まれた場所に移り、こちら側と向こう側の間に一時的な通路が生まれる。著者が述べる手順で通路を保てるのは、長くても数分ほどだという。

『The Elder Scrolls IV: Oblivion』では、この印石が戦いの目的になる。クヴァッチの外に開いた門からは敵が次々に現れ、衛兵は街を奪還できずにいた。英雄は自ら門をくぐってデッドランドに渡り、塔の頂から印石を取り外す。敵地で通路の支えを断つことで、ようやく街へ攻め入る道が開ける。

異界との接触にはほかにもさまざまな形がある。ソルスセイムで黒の書を読む者はアポクリファへ引き込まれ、ヴォルキハル城ではヴァレリカの研究室に設けた入口がソウル・ケルンに通じる。召喚術なら、術者が旅立つ代わりに異界の住人をこちらへ招くこともできる。いずれも世界の境を越える術だが、何が境を越え、誰が行き先を選べるかは入口によって異なる。


タムリエルを揺るがした二つの侵攻

第二紀の次元融合

『The Elder Scrolls Online』でモラグ・バルが企てた「次元融合」(Planemeld)は、ニルンを自らの領域コールドハーバーへ引き込もうとする試みである。タムリエル各地の祭壇に出現する巨大な「ダークアンカー」は、異界から軍勢を送り出すと同時に、二つの世界をつなぎ留める錨として働く。旅人が地上で目にする空からの鎖は、国境を越えた侵略よりもはるかに大きな計画の一端なのだ。


第三紀433年のオブリビオンの動乱

『The Elder Scrolls IV: Oblivion』で描かれる「オブリビオンの動乱」(Oblivion Crisis)を引き起こしたのは、破壊を司るメエルーンズ・デイゴンだった。第三紀433年、デイゴンを崇拝する教団「深遠の暁」が皇帝ユリエル・セプティム七世とその後継者たちを暗殺する。皇位継承と結びついていた竜の火が消え、タムリエル各地にデイゴンの軍勢が進入する門が開いた。

クヴァッチの英雄と、皇帝の生き残った息子マーティン・セプティムは、王者のアミュレットを取り戻して帝都へ向かう。しかしデイゴン自身がすでに都に現れていた。マーティンはアミュレットを砕き、時の竜神アカトシュの化身となってデイゴンを退ける。門が閉じ、セプティム朝と第三紀はともに終わった。

この結末を経た第四紀にも、ソルスセイムでは黒の書が読者をアポクリファへと導く。マーティンの犠牲が終わらせた侵攻と、書物や儀式を介して個人が異界に触れることは区別できる。「オブリビオン」は訪れることのできる場所の名であり、「オブリビオンの動乱」はその一領域から軍勢が押し寄せた歴史上の事件名である。


ゲーム内書籍に残された旅人の声

オブリビオンを一人の旅人の目で知るには、『オブリビオンの扉』(The Doors of Oblivion)が興味深い。異界を歩いたのは魔術師モリアン・ゼナスだが、筆を執ったのは手元の図書室に残った弟子である。師弟は離れていても心を通わせることができた。読者の手に届くのは、旅先から伝わった師の言葉を、弟子が書き留め、地上に残された知識と突き合わせた記録だ。

灰が渦巻く最初の領域で、ゼナスは呼吸するにも体を浮かせるにも魔法を必要とした。師弟はそこをマラキャスのアッシュピット(Ashpit)と推定したが、主に会って確かめたわけではない。対してムーンシャドウでは、ゼナスはアズラ本人に謁見している。同じ一冊でも、景色から推し量ったことと、旅人自身が目の前で確かめたことでは確かさが違う。この違いに目を向けると、タムリエルの学者たちがどこまで異界を知り、どこから先を今も手探りしているのかが見えてくる。

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