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ハンマーフェル

Hammerfell

海を渡ったレッドガードが、砂漠に築いた故国

ハンマーフェル(Hammerfell)

ハンマーフェルは、タムリエル西部に位置するレッドガードの故国である。イリアック湾の南岸では商船がセンチネルの港に集まり、その背後には、かつて一軍が渇きに苦しみながら退いたアリクル砂漠が広がる。海を渡ってきた民が築いたこの国では、港を押さえる者と、砂漠を越える術を知る者とが、それぞれ歴史を動かしてきた。

『The Elder Scrolls V: Skyrim』の時代を知るうえでも、ハンマーフェルは重要な土地である。帝国とアルドメリ自治領が和平を結んだとき、講和の代価として差し出されたのがハンマーフェル南部だった。レッドガードはその条件を拒み、故国の境界をめぐる戦いをさらに五年続けた。


砂漠から海へ ― ハンマーフェルの地理

ハンマーフェルは北にハイロック、北東にスカイリム、東から南東にかけてシロディールと接する。北西に入り込むイリアック湾を挟み、ハンマーフェル側のセンチネルとハイロック側のダガーフォールが向かい合う。国境を陸路でたどるより、船で対岸へ渡るほうが身近な土地もある。両国の王家が交易でも戦争でも深く関わってきた背景には、この湾の存在がある。

地域・都市

土地の特徴と歴史

アリクル砂漠(Alik'r Desert)

ハンマーフェル西部を占める砂漠。遊牧の民が暮らし、砂の下にはレッドガード渡来以前の遺構が眠る。第四紀の大戦では、帝国軍の退路にも自治領軍の退路にもなった。

センチネル(Sentinel)

イリアック湾南岸の港湾王国。砂漠と海上交易が出会う王都で、宮廷の劇場や料理、工芸も知られる。第三紀末には湾の南岸に勢力を拡大した。

ヘガス(Hegathe)

レッドガード初期の都。古いエルフ語の地名を残す。第四紀にはクラウン派の都市として、自治領軍に包囲されながら抵抗した。

タネス(Taneth)とリハド(Rihad)

南部沿岸の都市。第三紀にはフォアベア派の拠点として名が挙がる。南岸からはシロディール西部にも海路が通じる。

クラグローン(Craglorn)

北東部の岩がちな高地。ベルカースを拠点に、古代ネード人の遺跡や、星座にまつわる物語をたどることができる。

ストロス・エムカイ(Stros M'Kai)

南西沖の島。ドゥーマー遺跡と港を擁し、第二紀には帝国への反乱、第四紀には自治領との講和に名を残した。

地名に残るドゥーマーの槌

ヨクダからレッドガードの祖先が渡来する数世紀前、この地にはすでにエルフやブレトンの沿岸拠点があり、内陸にはオークなどの民が暮らしていた。第一紀420年には、東方からドゥーマーのロークン氏族(Rourken)が到来した。故郷で結ばれたチャイマーとの同盟に反対し、海の向こうではなくタムリエルの西に新天地を求めた一族である。

伝承によれば、族長は故郷を去るにあたって大槌ヴォレンドラングを投げ、その落ちた土地を民の移住先に定めた。氏族の都はヴォレンフェルと呼ばれ、『帝国のポケットガイド』第3版はその名を「槌の都」と説明する。後世に定着したハンマーフェルという呼称にも、この槌の記憶が残っている。氏族はほかのドゥーマーと同じく姿を消したが、その建造物は砂漠や沖合の島に残された。


ヨクダから渡った「戦士の波」

レッドガードの祖先の故地は、西方の海にあったヨクダである。第一紀、ヨクダを襲った大災厄に伴い、人々は船で東へ渡った。タムリエルで勢力を広げた戦士たちはラ・ガーダ(Ra Gada)、すなわち「戦士の波」と呼ばれた。「レッドガード」という民族名は、この呼称に由来すると伝わる。

彼らが上陸した沿岸には、すでに漁場や港を利用する人々がいた。ラ・ガーダの進出は、ヨクダの民にとっては新天地の獲得であり、先住のオークや沿岸のブレトンにとっては征服でもあった。後から渡った人々はヨクダの統治組織ナ・トタンブ(Na-Totambu)や信仰、乾燥した土地での農法を持ち込んだ。都市に築かれた高いドームやモザイク装飾も、移住者が新しい故郷に根づかせた文化の一部である。


クラウンとフォアベア ― 二つの伝統

**クラウン(Crowns)**はヨクダの王侯層ナ・トタンブの系譜を重んじ、祖先の礼法や信仰を守ろうとした。**フォアベア(Forebears)**はラ・ガーダの先駆者たちを自らの起源とし、タムリエルの隣人との交易や制度の受容に比較的積極的だった。どちらにもヨクダ由来の誇りがある。王家から受け継いだ秩序を尊ぶか、未知の土地を切り開いた祖先に倣うかという違いが、都市間の政治にも現れた。

対立の重さを伝えるのが第三紀253年の侵攻である。カモランの簒奪者が北上した際、フォアベア系のリハドとタネスが救援を求めても、クラウン系のエリンヒルは応じなかった。のちに東部のクラウン系都市がスカイリムと戦ったときには、今度はフォアベア側が救援を見送った。一方、第三紀末にセンチネルのロートゥン王が統治した領内には両派の住民がいた。王はヨクダの伝統を尊重しながら帝国の慣行も受け入れる道を探り、その支持者はロートゥン派と呼ばれた。


剣聖の技と、祖先を守る人々

ヨクダから伝わった剣術には、修練によって精神を刃の形に現すという教えがある。剣の歌い手の達人はアンセイ(Ansei、剣聖)と呼ばれ、その精神の剣をシェハイ(Shehai)という。女剣士マケラ・レキの記憶を伝える物語では、窮地に立った彼女が思い出すのは、かつて自宅の炉辺に置かれていたフランダー・フンディングの兵法書である。普段は思いどおりに形を結ばなかったシェハイが、そのとき彼女の手の中で炎のように輝いたという。

『The Elder Scrolls Online』のアリクルでは、剣の腕を持つ者にも簡単には解けない問題が描かれる。死霊術師が墓を暴き、敬われていた祖先をアンデッドに変えてしまうのだ。死者を傷つけることを忌む人々に代わって剣を取るのが、砂漠を旅するアシャバ(Ash'abah)である。彼らは祖先を再び眠りにつかせる役目を負いながら、その務めのために同胞から距離を置かれている。死者を彼岸へ導く神トゥワッカの聖域をめぐる物語では、王でさえ、彼らの助けを求めることをためらう。


第二紀と第三紀 ― 海峡を越える同盟と反乱

第二紀の同盟戦争では、センチネルのファハラジャード王がダガーフォール・カバナントに加わった。ブレトン、レッドガード、オークの指導者が手を結んだ同盟である。かつてオルシニウムをめぐって敵対した民が同じ陣営に立った一方で、センチネル王の外交は、ハンマーフェル各地の王家すべての意思を代表するものではなかった。

第二紀末、上王サッサド二世の死後に内戦が起こると、タイバー・セプティムが介入した。王子アトールの軍はストロス・エムカイ沖で敗れ、島には帝国の総督が置かれた。ここから始まるのが『The Elder Scrolls Adventures: Redguard』の物語である。傭兵サイラスはレストレス・リーグとともに占領軍を破り、タイバー・セプティムを和平交渉の席につかせた。ハンマーフェルは帝国に組み込まれたが、その条件を決めるうえで島の蜂起は大きな意味を持った。

第三紀の『The Elder Scrolls II: Daggerfall』では、視点はイリアック湾に移る。ベトニー島をめぐって争ったセンチネルとダガーフォールの王家が、海を挟んで物語に関わる。第三紀末の「西方の激変」の後、センチネルは湾南岸の諸領を取り込んだ。その結果、かつて独立していた王国同士の対立は、一人の王が異なる伝統を持つ領民をどう治めるかという問題に変わった。


第四紀の大戦 ― 帝国との決別

第四紀171年、アルドメリ自治領は皇帝タイタス・ミード二世に最後通牒を突きつけた。要求にはタロス崇拝の禁止とともに、ハンマーフェル南部の割譲が含まれていた。皇帝が拒否すると自治領軍は侵攻を開始し、南岸の都市を次々に占領した。翌年末まで持ちこたえた南部の都市がヘガスだった。

第四紀173年初め、包囲下のヘガスを救ったのは、センチネルから来たフォアベアの軍だった。宿敵の派閥に属する都市へ援軍を送ったこの出来事を、ゲーム内書籍『大戦』は両派の和解の転機として記している。帝国軍の将軍デキアヌスもまた、シロディールへの転進を命じられると、多数の兵を傷病者として除隊させた。現地に残った古参兵は反攻の中核となり、第四紀174年には自治領軍をアリクル砂漠の向こうへ押し戻した。

第四紀175年、帝国は白金協定を結んだが、ハンマーフェルでの戦争は終わらなかった。 南部の割譲を受け入れないレッドガードに対し、皇帝は協定を維持するため、ハンマーフェルを帝国の属州から切り離した。戦争が終結したのは第四紀180年。ハンマーフェルと自治領の間でストロス・エムカイの二次条約が結ばれ、自治領軍は撤退した。南部には長い戦闘による荒廃が残り、帝国との関係にも深い傷が残った。

この経緯を伝える『大戦』の著者ユスティアヌス・クインティウスは、両戦線で指揮を執った帝国軍人である。帝国には講和によって立て直す時間が必要だったという将校の判断と、自分たちの土地を差し出されたレッドガードの記憶。同じ白金協定がまったく異なる意味を持ったことが、『Skyrim』の時代の両者の距離を物語っている。


『Skyrim』で出会うハンマーフェル

第四紀201年のホワイトランでは、アリクルの戦士たちが一人のレッドガード女性を捜している。宿屋で働くサーディアは、自治領に反対したため命を狙われたと語る。追手のケマツによれば、彼女はタネスを自治領に売り渡した裏切り者だという。二人の証言は食い違い、どちらが真実かを決定づける証拠は示されない。タネスが大戦の舞台となった南部の都市だと知っていると、異国の宿屋で交わされる告発に、ハンマーフェルの人々が今も抱える戦争の記憶が見えてくる。

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