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デイドラ

Daedra

炎の精霊と黄昏の女王を結ぶ、デイドラの名の由来

デイドラ(Daedra)

デイドラとは、異界オブリビオンに属する多様な霊的存在の総称である。召喚術師が呼び出す炎の精霊も、武具をまとって人の言葉を話すドレモラも、黄昏の女王として祀られるアズラも、すべてデイドラに数えられる。そのうち、狩猟や支配、夜明けと夕暮れといった固有の領分を持ち、神にも等しい力を振るう者たちをデイドラ公と呼ぶ。

タムリエルの住人がデイドラに出会う場所は、戦場ばかりではない。道端の祠で耳にする声、魔術師が描いた召喚の円、ある民が祖先から受け継いできた祈りにも、オブリビオンとの接点がある。


「我らの祖先ではない者」という名

古代エルフの言葉で、エドラ(Aedra)はおおよそ「我らの祖先」、デイドラ(Daedra)は「我らの祖先ではない者」を意味する。この「我ら」には、世界の始まりを語り伝えたエルフたちの視点が含まれている。デイドラという名を理解する出発点は、人間に危害を加えるかどうかよりも、その存在を世界や自分たちの起源とどう結び付けるかにある。

ゲーム内書籍『エドラとデイドラ』は、エドラが定命の世界ムンダスの創造に力を注ぎ、その秩序に結び付いたと説明する。同書がデイドラに結び付けるのは「変化」である。もっとも、これはタムリエルに伝わる神学上の説明であり、個々のデイドラの来歴を一律に語るものではない。とりわけダンマーの伝統では、デイドラに分類される存在が、自分たちの民を導いた祖霊としても敬われる。


デイドラ公とオブリビオンの領域

オブリビオンは、門をくぐれば必ず同じ場所へ出るような一つの国ではない。溶岩が流れ、黒い塔がそびえるメエルーンズ・デイゴンのデッドランドも、書物が果てしなく積み重なるハルメアス・モラのアポクリファも、その内にある。デイドラ公についていう「領域」には、こうした異界の土地と、公が力を振るう事柄の両方がある。モラの書庫を訪れる者は、彼が知識を集めるとはどういうことかを、その風景を通して知ることになる。

デイドラ公

主な領分

定命の者との接点

アズラ

夜明けと夕暮れ、その境界

ダンマーの導き手の一柱。予言や幻視を通じて信徒に道を示す。

メエルーンズ・デイゴン

破壊、変革、革命、野望

第三紀末に配下の軍勢をタムリエルへ送り込んだ。

モラグ・バル

支配、隷属

自らの領域コールドハーバーに定命の者の魂を縛る。

ハルメアス・モラ

知識、記憶、運命の探究

『黒の書』を開いた者をアポクリファへと誘う。

ハーシーン

狩猟、追跡、獣人

狩人と獲物の双方を試し、ウェアウルフたちの伝承にも深く関わる。

シェオゴラス

狂気

自らが治めるシヴァリング・アイルズでは、躁と鬱が二つの土地の姿を取る。

デイドラ公の顔ぶれを知るときは、誰が、いつ記した名簿なのかにも目を向けたい。たとえば『The Elder Scrolls Online: Gold Road』で第二紀の人々が直面するイセリアは、その存在自体が忘れ去られていたデイドラ公である。ある時代の学者が名を書き残さなかったことと、その公が存在しなかったことには隔たりがある。


ドレモラ、精霊、スキャンプ

デイドラの大半は、祠で崇められる公とは違う立場から物語に登場する。炎・氷・雷の精霊(Atronach)は、それぞれの元素が生きて動くような姿を持つデイドラである。炎の精霊を呼ぶ術は、火炎を放つ破壊魔法と見た目こそ似ているが、術者が呼び寄せているのは、自分とは別の存在だ。

ドレモラ(Dremora)は、武具を使い、言葉を交わし、氏族を作る。彼ら自身の視点から書かれた『デイドラの霊魂』には、父母を持たずとも同族はおり、氏族が自分の姿や考え方を形作る、という趣旨の記述がある。強者への奉仕も誓いによって結ばれる。メエルーンズ・デイゴンに仕える伝統は長いが、語り手によれば、常にそうであったわけではない。

小柄なスキャンプ、獣じみた姿のクランフィア、武装したドレモラが同じ門から現れることもある。その光景からわかるのは、その場で誰の軍勢に加わっているかまでだ。ゲーム内書籍『Varieties of Daedra』の著者も、ある種類のデイドラがどの公に仕えるかについて、土地や時代を越えて通用する答えを出す難しさを書き残している。


倒されたデイドラはどこへ行くのか

定命の者の剣でも、目の前にいるドレモラを倒すことはできる。だが、肉体の破壊は通常、その存在の終わりを意味しない。『デイドラの霊魂』の語り手によれば、身体を失った霊は暗闇へ投げ出され、やがて戻ってくる。死を恐れないという彼らも、傷を負う苦痛や敗北の恥、そして再び戻るまでの暗闇を恐れる。戦場で命を懸ける人間と、そこで肉体を失いうるドレモラとでは、同じ剣を前にしても、失うことを恐れるものが違う。

コールドハーバーを研究した学者は、この帰還を肉体の側から説明しようとした。『Chaotic Creatia: The Azure Plasm』に示される説では、デイドラに残る本質である「ヴェスティージ(vestige)」を核に、領域を満たす原質が新たな身体を形作る。ドレモラ自身が語る暗闇と、学者が観察した肉体の再形成。同じ出来事を内と外から伝える二つの記録である。


召喚と服従は別の術である

『The Elder Scrolls V: Skyrim』のウィンターホールド大学では、召喚術を究めようとする者に、フィニス・ゲストールが奇妙な課題を与える。呼び出す相手は、術者に従うよう拘束されていないドレモラだ。召喚そのものは成功しても、相手は命令を拒み、武器を取る。術者は同じドレモラを繰り返し呼び出して屈服させ、最後にはオブリビオンから印石を持ち帰らせる。

この試練には、召喚された者の側にも目的と記憶があることがよく表れている。一度倒されてもドレモラは先ほどのやり取りを覚えており、印石を渡すときには、それを失った主君デイゴンが喜んでいないことまで伝える。術者にとっては一つの課題でも、門の向こうでは主従のあいだに波紋が広がっている。


ダンマーがデイドラに祈る理由

モロウウィンドでは、アズラ、ボエシア、メファーラの三柱が、ダンマーの祖先に進むべき道を示した存在として崇敬を集めてきた。ボエシアが司る謀略も、メファーラにまつわる秘密や暗殺も、部外者には恐ろしい。だが信徒にとっては、祖先が敵対者のなかを生き抜き、自らの社会を築くうえで身につけた教えと切り離せない。三柱を「善きデイドラ」と呼ぶとき、その「善」には民族の歴史が刻まれている。

信仰の位置づけは時代とともに変化した。トリビュナル聖堂の教えは三柱を、生ける三神の出現を先取りした存在として位置づけた。一方、アッシュランダーには古い信仰を守る人々がいた。トリビュナルの権威が崩れたのち、新たな聖堂は三柱を再び信仰の中心に据えた。『Skyrim』の時代、ソルスセイムのレイヴン・ロックに建つ聖堂は、この歴史が人々の暮らしに残る場所の一つである。


オブリビオンの動乱が残した記憶

第三紀433年、各地にオブリビオンの門が開き、メエルーンズ・デイゴンの軍勢がタムリエルへ侵攻した。シロディールの都市クヴァッチは壊滅的な打撃を受け、やがて帝都にはデイゴン自身が姿を現す。マーティン・セプティムが命を捧げ、アカトシュの化身がデイゴンを退けたことで動乱は終息し、第三紀も幕を閉じた。

この戦いで侵略を企てたのはデイゴンであり、定命の者でありながら、その到来を手助けしたのが教団「深遠の暁」だった。同じ時代にも、別のデイドラ公に祈る人々はタムリエルで暮らしていた。「デイドラが攻めてきた」という生存者の証言と、「デイドラに導かれた」という信徒の伝承は、どちらもこの大陸の歴史に属している。

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