シセロの日記 - 第4巻
第四紀189年 炉火の月1日
シェイディンハルは他の街と同じように破壊と混乱の渦に巻き込まれている。聖域はまだ侵略されていないが、それもどれほど持つだろうか?
我々の人数は少ないうえ、聞こえし者がいないため任務はほぼゼロの状態になった。ラシャは聖域を持ちこたえさせようとしているが、それも難しくなりつつある。
第四紀189年 降霜の月26日
静寂! 聴力を失ったかのような静寂! 私の頭の中が、頭の中が、頭の中が。これは死の静けさ、虚無の静けさだ。母を通して私に染み込んでくる。静寂は憎悪だ。静寂は怒りだ。静寂は愛だ。
第四紀189年 星霜の月4日
今日、ラシャがようやく夜母が話しかけてくれたと言い、自分が聞こえし者であることを宣言した。しかし、尋ねられた呪縛の言葉を口にすることができなかった。嘘つき! いかさま師! 彼の見え透いた嘘は許されざるものだ。
第四紀189年 星霜の月5日
ラシャは死んだ。
静寂に命じられるまま、私は従った。もちろん剣など振り回していないが、熱心なガルナグの耳に優しくそっと甘い言葉を囁いた。彼は良い兄弟だ。とても忠誠心がある。シセロにも母にもだ。彼は喜んで任務を遂行した。
第四紀190年 薄明の月10日
もう残っているのは3人のみ。シセロ、ガルナグ、ポンティアスだけだ。
第四紀190年 薄明の月15日
夜母は黙りこくったまま。私はふさわしくないまま。聖域は絶望的なまま。
第四紀190年 蒔種の月3日
聞こえる。徐々にはっきりと。徐々に大きくなっていき、それはまるで穏やかな晩に落ちる雷のように静寂を時折打ち破るのである。笑い声だ。
第四紀190年 蒔種の月4日
笑い声、笑い声、ひたすら笑い声! 道化師だ! 気の毒なシセロを励ますために虚無から届けられた声だ! あなたの贈り物をありがたく頂戴します、愛しい夜母。笑いをありがとうございます。友の声を届けてくれてありがとうございます。
第四紀191年 恵雨の月16日
ポンティアスが死んだ。シェイディンハルの街中を歩いている時に闇の一党の暗殺者がただの山賊にやられた。こんなにも悲しいことが、なぜこうも可笑しく感じられてしまうのか?
第四紀191年 恵雨の月17日
愛しい夜母、笑い声もとても気に入っていますが、それよりもあなたの声を聞きたいのです。まだ間に合います! 母よ、私に話しかけてください! 正しい方向に事態を治められるよう私に話しかけてください! 私なら聖域を守れる、闇の一党を守れるんです!
私から笑い声を奪ってくれて構いません! 持っていってください! それと引き換えではいけませんか? 笑い声とあなたの声を引き換えにしては?
第四紀191年 栽培の月2日
聖域を離れるのは危険だ。我々はここに留まることにする。万事順調だ。
第四紀191年 収穫の月29日
ガルナグがいなくなった。いない、いない、いない、いない。食料を手に入れるためにここを離れたのだが、戻ってくるだろう。まだあれから3ヶ月だ。さんかげつ? 参加列? 惨禍月?
第四紀192年 黄昏の月21日
シセロは死んだ! シセロは生まれた!
私の中に笑いが満ちている、隅々まで淀みなく満ちている。私は笑いし者だ。私は道化師だ。長いこと忠実な友だった魂が、ようやく虚無のベールを破ったのだ。もう戻ることはない。そして今、それは私の中にいる。私自身なのだ。
もう誰も人間のシセロを見ることはできない。心の道化者となったシセロを見よ--笑いの具現だ!
第四紀200年 黄昏の月28日
古い日記を見つけ、静寂、音、暗闇、光についての概論を書くことにした!
最初に夜母がここに来てからどれくらい経っただろう? 私が守りし者に任命されてからどれくらいの月日が流れただろう? 私が一人ぼっちになってからは? シェイディンハルが陥落してからは? 彼らが激しい心臓の鼓動のように扉を叩き始めてからは?
ここは暗くて静かだ。かわいそうなシセロ、自分自身が笑いとなってしまったために笑い声はもう聞こえない。シェイディンハルに聞こえし者はいない。シロディールにも聞こえし者はいない。私の中にも聞こえし者はいない。
我々はここを離れなければ。聖域が崩れる前に。夜母が燃える前に。闇の一党が衰える前に。笑いが死んでしまう前に。
第四紀200年 黄昏の月29日
散歩をすると、ある侍女を見つけたが母の務めのために刀を使うことはできなかった。今はとても忙しく、あのスリルが恋しい。誰かを始末できる機会がほしい。