top of page

ナイチンゲール:事実か作り話か?

書籍概要

『ナイチンゲール: 事実か作り話か?』は、スカイリムにおいて語り継がれる影の存在「ナイチンゲール」の実在性を巡る論争を扱った学術的考察書である。著者ウィリミナ・ロスは、盗賊の間で囁かれる伝承を単なる与太話として切り捨てるのではなく、わずかに残された証拠を積み上げることで、その背後にある可能性を慎重に探っていく。


本書の特徴は、確定的な結論を提示しない点にある。むしろ提示されるのは断片的で信頼性の揺らぐ証拠群だ。奇妙な紋章を持つ黒い鎧の死体、出所不明の囚人の証言、そして処刑囚が残した祈りの言葉。いずれも決定打には欠けるが、共通して「ノクターナル」と「ナイチンゲール」というキーワードに収束していく。


特に興味深いのは、盗賊という本来無秩序で利己的な存在と、デイドラ信仰という宗教的枠組みが結びついている可能性が示唆されている点である。これは、盗賊ギルドが単なる犯罪組織ではなく、何らかの信仰体系や誓約によって統制された側面を持つ可能性を示している。

ナイチンゲール:


事実か作り話か?



ウィリミナ・ロス 著



有能な盗賊の前で“ナイチンゲール”話でもしようものなら、その場で笑われるに違いない。デイドラの王ノクターナルの復讐者などは、若い追いはぎが兄貴分の言うことを聞くように脅すための作り話であって、架空の存在に過ぎないと言うはずだ。しかし、彼らは本当に架空の存在なのか、それとも単に誤解されているだけなのだろうか?


盗賊ギルドは、基本的に非道徳的で組織化されていない暴徒の集まりだと考えられている。その中に神聖な勢力が存在するという説は、多くの学者にとって馬鹿げた考えだというのは確かである。しかし、そういった組織がスカイリム内に一時期存在していたと示す証拠がある。この学術書が出版される120年ほど前、“造られし真夜中”と形容された不思議なアーマーを身に纏った死体が発見された。そのボロボロの鎧には、黒い円を抱えた鳥が描かれた、何らかのクレストが付いていたのである。遺体と鎧は研究のためにウィンターホールド大学へと運ばれたが、奇妙なことに到着した次の日に消えてしまった。


この鎧についていたクレストは長年スカイリム中を巡ることになったが、その由来を特定するのは不可能に近いと思われた。そんな時、情報源としてはかなり意外なことに、マルカルスの鉱山に閉じ込められた囚人が、それはナイチンゲールという盗賊集団のマークであると言い出したのだ。さらなる情報を要求すると、ナイチンゲールはノクターナルの戦士たちであり、彼女の命ずるがままに任務を遂行する者たちであったという。囚人はスカイリムの盗賊ギルドから聞いたと言ったが、その人物の名前を口にはしなかったため、彼の話は退けられた。


ナイチンゲールが今も存在することを示す2つ目の証拠は、リフテンを出てすぐの場所にある。メイン通りから離れた短い道の終端で発見されたのは、正体不明の黒ずんだ石だった。その表面に掘られていたのは黒い鎧に付いていたものと同じ鳥類の顔。ナイチンゲールの存在を認める者たちは、そこが彼らの何らかの集合場所ではないかと考えたが、そうでない者にとっては作り話、もしくは盗賊ギルドの気紛れで作られた物だろうとして相手にしなかった。


そして最も議論を呼んでいる最後となる証拠は、ホワイトランにある独房の壁に書かれた一文である。これまでそこには殺人の罪で死刑執行が言い渡されたローサスという名のダンマーが投獄されていた。刑が執行された後にローサスの独房が調査されると、以下の文章が掘られた石が発見された。


「お導きください、ノクターナル様。あなたにお仕えすることが望みなのです。私はナイチンゲールとして生まれ変わりました。私の過去が勝利の響きとなりますように」


これがノクターナルとナイチンゲールに確かな繋がりがあったと示す最初の、そして唯一の証拠である。プロの犯罪者が綴った宗教的な意味合いを含む不可解な文章により、集団が実在した可能性があるのではないかという激しい議論が何年もの間繰り広げられてきた。だが、残念なことにそれ以降、現在に至るまで他に証拠は一切発見されていないため、この興味深い発見も徐々に忘れられ、議論されることもなくなった。


こうしたわずかな証拠だけで、結論を出すことは難しい。何しろ解明できたことより疑問の方が多く残されているのである。宗教と窃盗は共存できるのか? デイドラの王ノクターナルの使者として、明らかに極悪非道な目的を持つ者がスカイリムにいるのか? 盗賊ギルドはナイチンゲールに関して幅広い知識を持ちながらも、秘密厳守を貫いているのだろうか? もしかすると、この質問の答えはいつの日か解き明かされるかもしれない。しかし今のところ、ナイチンゲールが実在したか否かの判断は、読者の判断に委ねることにしよう。

bottom of page