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カルセルモよりファリーンへ



カルセルモよりファリーンへ




恋人の心は感覚のない石

視界の下の氷に隠れてる。

「そこではない」と誰かが言い

「でもそこかも」と誰かがささやく。


石は熱い灰から生まれるが、

1度形をなせば熱の気配はない。

彼女の心が愛を裏切ることもなく、

それを抱く者を癒すこともない。


山が高くなり空を恋しく思えば、

登山家が征服しようとして登る。

のみと縄、斧とつるはしを持って

彼らは岩を屈服させる。


山脈の中で堂々とそびえる頂きは、

誰も登れない負け知らず。

その坂を押し流そうとする人間の、

その目から生まれた流れが斜めに走る。


がむしゃらな突撃で穿つことはできない

離れて横たわる守られた深み。

だが気長な水は優しく形を作り

秘かに心へ繋がる。


私の愛は探求する水、

太陽の周期とともに割れる氷。

擦り、憧れ、囁かれた願いは

私が駆け込むまで時間を稼ぐ。


私が岩の中に残したのは、

頑丈な石から掘りだした街。

その巣の中へゆっくり入ろう、

故郷となる魂を暖めよう。



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