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セルヴォの日記

ついに彼女はやってしまった。最終的に彼女が参ってしまうだろうことは分かっていた。私はできるうちに立ち去るべきだったのかもしれない。このクモたちの中に眠る未開発の力が、ついにメリラーの頭に届いてしまったのだ。この小さな白い生き物たちにそんな魔法が使えるなどと、一体誰が思っただろう?

この檻の中に閉じ込められているのはもちろん苛立たしいが、おかげで前以上に仕事へ集中できている。そもそも彼女は私が何をするつもりだと思ったのだろう? 彼女も姉妹として、私がどれほどこの仕事に打ち込んでいたか理解していたはずだ。だが今彼女を非難することはできない。この実験でどれだけの有毒ガスが放出されたか分からないし、それが人間の脳にどんな影響を及ぼすかも定かではない。とりあえず私は無事だ。もしくは、無事ではないのに無事だと思い込んでいるのかも? もしかして、この実験は私と彼女に同じような影響を与えているのだろうか?

素晴らしい! 基礎となるクモたちは、どれも修飾因子と結合させてその習性を微調整する事が可能なようだ。たとえば白スパイダーの卵のうとルビーを組み合わせると、獲物に飛びかかった後爆発するクモができる。ところが調合に塩の山を加えるだけで、同種ではあるが、飛びかかって爆発する代わりに体から炎を放つクモが誕生するのだ。こういった習性についてもっと実験を重ねたいところだが、精神を操るクモの実験台となった山賊たちは、まだ全員隔離中らしく、メリラーは彼らを外に出すのを嫌がる。もしかして、彼女には対処し切れないほどの人数が中にいるのだろうか?

今日、彼女が自分に向かってつぶやいているのを耳にした。彼女は「クモたちは私のものよ。彼らは私の言うことを聞くわ!」などとつぶやいていた。一体何を企んでいるのだろう? メインルーム内の閉鎖された空間に入ろうとしているのでなければ良いが。あの方向から妙な詠唱が聞こえて以来、私たちはあの場所を特別に封印しているのだ。それは彼女も知っている。とは言え、彼女の現状を考えると、彼女がかつて“知って”いたことなど今は大した意味を持たないかもしれない。彼女に何事もなければ良いが。

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