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ある“スクゥーマ喰らい”のダンマーの告白



ある“スクゥーマ喰らい”のダンマーの告白



ダンマーにとって、あの“スクゥーマ”と呼ばれるムーンシュガーの精製品の虜となった哀れな同胞を見ることほど不快なものはない。また、あの麻薬の犠牲者に関する屈辱的で不名誉で救いようのない話ほど、聞いていて食欲を削がれるものはない。


ではなぜ私は、己の罪と悲しみの物語をここで詳細に語ろうとしているのか?


なぜなら私は、自らの体験を語ることで、かような窮状にも救いはあるという希望を伝え広めたいからだ。そして絶望に囚われた私がいかに自分を取り戻し、自縛を打ち破るに至ったのか… そうした話が他のスクゥーマ中毒の犠牲者たちの耳にも届いてほしいと願うからである。


カジート族であれば知っていることだが、スクゥーマ中毒に特効薬は存在しない。一度スクゥーマの罠に落ちた者は、一生その奴隷となるしかない。こうした認識はあまりに広く流布しているため真実と解されがちだが、実は真実ではない。私がその生き証人だ。


確かに奇跡の治療薬はない。飲み薬も。全身を駆けめぐるスクゥーマの快楽から逃れられる魔法もない。


だが、あの快楽を理解する事が肝心だ。あの快楽への内なる欲求を受け入れよ。快楽の求道者が、最後には唯一の慰めや喜びとなるものを拒めない時に感じる恥を捨て去れ。こうした知識や理解を通じて、犠牲者は選択の場へと到達できる。絶望と希望の分岐点へと。


簡潔に言えば、知識と容認だけが、奴隷の足かせを外し自由になるための鍵を授けてくれるのである。



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