発掘に出た傭兵が発見した珍品の一つは、装飾を施されたドワーフの冠だった。私は即座にそれが王冠だと推測した。
探検隊のリーダーとして、かの王冠をかぶる務めは当然、私に回ってきた。しかし、かぶってみるとこの品が不完全であることに気づいた。
伝説によれば、王冠の恵みは季節によって変わるはずだった、あたかも月と星に導かれるように。しかし、付呪は王冠自体に施されているのではなく、顔の部分に挿入する仮面のほうにあるようだ。
記憶が正しければ、仮面は全部で3枚だ。春、秋、冬。夏の仮面がどうなったのかは知らない。おそらく真央の月は暑くて、仮面をかぶっていられなかったのだろう。