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謎の祭壇
マルカルスから旅立って2日経ったところで、運動不全症に襲われた。布でも噛んでいれば痛みが気にならないかと思ったが、とうとう関節が重みに耐えられなくなった。
休憩場所を探すため、ロードサイド遺跡に立ち寄った。あれを見つけたのはその時だった。秋の霧のイバラの中に、妙な祭壇があったのだ。その傍らには、祭壇の番人のようなハグが立っていた。
私の不安を察したのか、そのハグは手招きしてきた。そして無言で手を挙げると、その手を祭壇へと伸ばした。そして選択を迫ってきた。
旅する中でハグレイヴンの野営地はいくつも通り過ぎたし、妙なものもたくさん見てきたが、あんなものは見たこともなかった。ハグの瘤だらけの手には、3つの空っぽの器と、それを満たすための杯が置かれていた。
老婆がようやく、聞きなれない訛りで口を開いた。最初の器は力を授けてくれる。老婆はそう言った。2番目の器は幸運を。だが3番目の鉢は、何も授けてくれないという。
今になって思えば、あれが現実だったのか、それとも熱による幻覚だったのかわからない。あるいはあの祭壇は、忘れ去られた神を祀るただの石だったのかもしれない。それでも私は、恩恵が手に入る方法や場所について聞かざるを得なかった。老婆が言うには、恩恵が向こうからやって来るという話だった。
あいにく、運動不全症のせいで不眠症になってしまった。それどころか病気が進行しているせいで、あの選択の結果を見届けるまで生きていられないかもしれない。残念だ。あの選択が正しかったのかどうか、今でもわかっていないのだから。
--ルルニク・ウィンドストライダー
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