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ハンスの日記
「眼が炎に包まれたとき、髪が行く先を照らすだろう」
サンダードの奴は、酒臭い息を吐きながらこの言葉を繰り返してた。まるで詩でも読んでるみたいだった。あの黒いフードを被りながら言われたら、危険な呪文か何かに聞こえても無理はない。だけど誰かの髪の毛が燃えることもなく、戸棚に小鬼もおらず、その言葉は無害だった。ただの酔っ払いのたわごとだ。
宿屋の常連の中で、俺だけがあいつの話に付き合ってやってた。俺たちはホニングブリューのボトルと、思い出のバケツで絆を深めた。
だからあのエルフが死んだ時、遺産を俺に遺したのは当然の話だった。無数のガラクタ、バケツの所有権、ずっと昔に滅びた言葉で書かれた呪文の書があった。
俺はゴミを遺したあいつを罵り始めたが、その時2つのお宝が出てきた。沼地の奥にある塔の地図とメモだ。あいつのたわごとがただの詩じゃなかったとわかったのは、それを読んだ時だった。あれは説明だったんだ。塔の入り方だ。
ここに着いて、もっとはっきりとわかってきた。髪の毛の箇所は見当もつかないが、眼ってのは石の封印のことだ。間違いない。だけど何をやっても上手くいかない。たいまつの火で燃やし、何時間もかけて薪を割り、月が焦げるぐらい高くまで焚火を燃やしてみた。それでも無反応だ。
封印は魔法でしか解けないのかもしれない。まあ、あの酔っ払いが呪文をかけたんなら俺にもできるはずだ。あいつの呪文の書があるんだから、後は言葉を理解すればいい。
だけど急がないといけない。火のせいで、この邪悪な沼地の生物が近付いてきてる。死んでしまう前に、塔の中に眠ってる財宝を見つけられればいいんだが。
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