アドナト・レオテッリの日記
名だたる戦士たちがキャンドルハース・ホールを通るのを目にするのは、最近珍しいことではない。彼らは戦争の報せに招かれたのだ。その多くが火のそばに座り、好きな酒を頼み、自分の武勇伝で客を楽しませている。
そういった話が目の前で紡がれていくのを目の当たりにするのは珍しいことだ。しかし、それこそまさに2名の伝説の戦士、喧嘩屋グレンウルフとホルリク・フロストソードが私の隣のテーブルで席についた時起こったことだった。
ハチミツ酒のせいで気が大きくなっていたのかもしれないが、酒の上での口論はあっというまに激しくなった。己の拳だけで戦うことで知られる喧嘩屋グレンウルフがホルリクを投石機を放つ兵士と比較し、彼の強さは操る道具頼みだと言い放ったのだ。
ホルリクは、グレンウルフの言いがかりを切って捨てた。喧嘩屋が両手しか使わないと言うなら、ハチミツ酒を手で飲んで、パンも爪で切るべきだと。
それだけではなく、この世には拳だけでは殺せないものがいる。仮にその拳がランダガルフのものであってもだ、とホルリクは言った。その点、君主の氷の刃という彼の剣には冷気が宿り、世界の果てに並ぶ氷の壁をも切り裂ける。
グレンウルフはその考えを鼻で笑い、どんな人も獣も拳の一撃を生き延びたことはないと言い放った。
その時、解決策が示された。それを示したのは神々だったのか、それとも、もっと邪悪なものだったのか。戦士が飛び込んでくると、クロンヴァングル洞窟に巨大グモが住み着いて、討伐隊3名がやられたと言った。彼の見開かれた目と引き結んだ唇が示す恐怖は、そこにいる者に伝わった。聞き流す者は滅多にいない警告だったが、この2人の英雄には全く別のものに見えたのだ。議論に決着をつけるチャンスだ。
そこで次の朝、彼らはクロンヴァングル洞窟に出発した。以来3週間経った。
この生涯で私は武勇伝と悲劇、その両方も書き綴ってきた。そしてグレンウルフとホルリクの物語の最終章はまだ書かれていないものの、この話は後者のカテゴリーに入る気がする。2人とも、元気に戻ってきていないからだ。