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エーリエルの日記
タイラは頑固すぎて認めないが、クリムゾンダークはもうおしまいだ。奴らに名前も顔もバレてる。市警隊に捕まらなければ東帝都社か、他のギルドか、これまでに怒らせた大家にやられる。あくまで私は、奴らが先手を打つのに手を貸しただけだと思ってる。
私の仕事はアジトに火を放って、帝国軍の兵士に炎に包まれた山賊どもを始末させることだった。奴らが制服をまとった卑劣なブリキ缶だってのがよく分かる。決して公平に戦い、取引することはない。とはいえ、私も同じだ。
衛兵隊長は自分の屁の臭いを嗅ぐのに夢中で、焼かれているのが死んでずいぶん経つ死体だと気づかなかった。クリムゾンダークはもう姿を消していた。
対等な取引だった。向こうの先手を逆手に取ったんだ。こちらが約束を守ったから、奴らには見破れなかった。
もっとも、奴らもいずれは気づくだろう。脱出劇に私が果たした役割に気づかなかったにしろ、仲間の逮捕には協力させる気だ。奴らは私が伝えたことをきれいにファイルにまとめ、隊長連中に配布した。私のことも書いてあるんだろうか。
青白き目にだけは、私たちの自由の代償のことを伝えた。他の連中には分かるまい。奴らは罪悪感に耐えきれない。だが私も誰かに言わずにはいられなかった。なぜなら、どうやら私も耐えきれなかったようだから。
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