行商人の日記
青いチビどもに初めて会ったのは1年前のことだ。北のほうにある島でのことだった。いくつか品物を渡して交易しようとした。奴らが槍で私の頭蓋骨を貫かない理由になってくれればいいと願ってのことだった。
最高の商品を奴らに披露した。サファイア、銀の燭台、上質のツンドラの綿の織物などだ。だが、奴らはどれも欲しがらなかった。むしろ私のベルトにもっと興味を示していた。そこで彼らの首領に差し出した。私を釜茹でにするのを考え直してくれるように祈りながら。だがなんと、奴が茹でると決意していたのは私ではなく、ベルトだった。
餓死寸前の兵士が生きるため、革ひもを食うと言うのは聞いたことがある。だから、そういうことならベルトを鍋で茹でたらダメだってわけではない。
だが、この小さなスクリブどもは、そいつを美食家の料理のように噛みしめている。実際、首領はブーツも鍋に入れろと言った。これも皮でできていると分かったからだ。
小さな怪物どもに、鎧もみなネッチレザーでできていると伝えようとした。ノルドの老いぼれ牛の皮とは違う。だが、翻訳の途中で何かが抜け落ちたようだ。なぜなら、奴らはそれを何か神聖な遺物と思って、奴らの印を描き始めたからだ。
鎧を小屋に持ち去ろうとする彼らに、大したものじゃないと説明しようとした。ネッチレザーの作り方を絵に描いて見せた。だが首領はそれを料理の本と思ったようで、それも持って行ってしまった。おまけに、生のネッチレザーを売れという。そうしたら部族の全員が食えるからだ。
そういうわけでこの愚か者どもが殺し合いをしないように、本土から革を運んで、山の花と木炭で紫に染めている。もちろん奴らにこいつを食わせて、後はホーカーに任せてもいいが。奴らの持っているガラクタの中には貴重なものもある。しかもうまいことに、奴らはそれに気づいてない。
この島のホーカーに口留めしておけば、仕事を始めるには完璧な場所だ。