青き神の日記
第1日
部族に狩人としての腕前を見せてみろと言わ れた。獲物を罠で捕らえて要塞に持ち帰れと言う。お祝いのご馳走にするんだろう。それほど難しいことではない。水辺に輪縄を仕掛けた。あとは食べ物が寄ってくるのを待てばいいだけだ。
第2日
輪縄はうまくいってない。奴らに言われた通り、枝へ結んどいたのに。きっとロブが脆いロープを寄越したんだ。でなければ、あの辺の枝が全然ダメか。壊れた道具でどうやって獲物を捕らえろっていうんだ。
第3日
たった数日なのに、もうあきらめたくなってきた。腹が減ってアタブにもらったパンを平らげてしまった。マラキャスにかけて、奴らはここで私を殺す気だ。
第5日
ここのウサギはすばしっこすぎて捕まえられない。エサを ポケットに入れておけば捕まえられるかとも思ったが、問題はエサがもうないことだ。袋の中のニンジンを全部食べるべきじゃなかったが、腹が減ってたんだ。
第6日
マラキャスの恵みだ、生きている! 野営地の南に洞窟があって、妙な青いキノコがたくさん生えてるのを見つけて、すぐに食った。アタブが毒キノコもあるとか言っていたが、病気にはならなかったから、彼女の言うこともあてにならない。ともかく、袋をキノコで一杯にした。腹いっぱいで帰れば、他の連中に狩りなんかしなくていいと説得できるかもしれない。
第7日
袋一杯のキノコを持ってラーガシュブールに帰ってきたが、誰もがキノコを吐き捨て、私の狩りの腕をバカにした。
それだけでも屈辱的だったのに、ヤマーズ族長はハンマーを振り上げ、袋を叩き潰すと中身を私の頭にぶちまけた。部族の仲間は誰も私をかばってくれなかった 。立って笑っているだけだった。
ヤマーズにもう一度足の生えているものを捕まえてこいと言われた。不公平だ。あいつだって最近何も捕まえてないのに。
第8日
腹が減ってたまらない。狩りなんて無理だ。ここで死ぬのか。そうしたらほっといてもらえるか。
第9日
マラキャスにかけて、今のは何だったんだ? 洞窟にまたキノコを取りに戻ったら、何かにつまずいたに違いない、だって穴に落ちたんだから。
助けてくれと叫んだが、救助されるどころか、あっという間に緑の怪物の一団に囲まれてしまった。奴らは歯をむいて威嚇してく る。おしまいだと思った。こいつらに食われちまうんだ。
悲鳴を上げようとしたら、連中の1人が、跪いてひれ伏した! 他の連中もそれに倣った。
奴らはゴブリンか? こんな北にはいないはずだ。ともかく、奴らは私を大切な客のようにもてなしてくれている。
第11日
マラキャスの祝福により、なんと奴らは私が神だと思っている! 他のオークのことは同様に扱わないから、きっと顔の青いしみのせいだ。あの袋を頭にぶちまけてくれたことを、ヤマーズに礼を言わねばならない。そうしてやろう。ゴブリンに、奴の顔を爪で引き裂けと命じる前に。
第15日
私の軍団は日に日に大きくなる。もうすぐ要塞を圧倒できるほどの数がそろう。取り敢えず奴らにシロディールから青いキノコを集めさせ、役を演じ続けよう、怪しみ始めた奴もいるが。
この間、枝を使って青い塗料を背中に塗っているところをあるゴブリンに見られたと思う。奴は見張っておかないと。
第18日
私を見たのが誰だったか突き止めた。妙な槍を持ったいやらしいチビだ。このグループの狩人らしい。奴を見ていると、私を笑い者にしたラーガシュブールのオーク全員を思い出す。
奴から槍を取り上げようとしたが、何かしたに違いない。重くて持ち上がらなかった。奴を守るのがハーシーンだかマラキャスだか知らないが、ゴブリンの神は一人だけだと思い知らせてやる。それは青き神。この私だ。
第21日
ゴブリンがシロディールからここへくるのに使っているトンネルが崩落した。まあいい。我が軍団は要塞をほぼ奪えるほど大きくなった。それが済めば、ヤマーズのものを売って荷車一杯の塗料が買える。だがそうする前に、不信心者を見せしめにしよう。
奴を片付ければ神を疑うとどうなるか、全てのゴブリンが思い知るだろう。