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トリフの日記



第4紀201年南中の月22日


宿屋「ウィンドピーク」に売却:

サケ16匹

北極イワナ8匹

蟹の脚12本



第4紀201年南中の月30日


旅人が通りかかった。セヴィウルという魔術師らしい。魔術師は嫌いだが、薬と炎の塩鉱石をくれるという。しばらく寝起きする場所を貸すだけで。もちろん承知した。貴族でもないのに、こんなお宝にお目にかかれるとは夢のようだ!




第4紀201年収穫の月2日


宿屋「ウィンドピーク」に売却:

サケ13匹

北極グレイリング: 6匹


昨日の夜、セヴィウルがよりによってマッドクラブに魔法をかけているのを見た。おかげで宿屋に下ろすマッドクラブがダメになった。用が済んだら好きにしていいと奴は言ったが、用済みになった連中はどうも様子がおかしい。古くなって嫌な臭いがする。




第4紀201年収穫の月5日


昨晩、寝ているところをマッドクラブに襲われた。ベッドの下に鋭いナイフを隠しておいてよかった。明日になったらお客に出発の時だと伝えよう。夜通し呪文を唱えられるのはもうウンザリだ。




第4紀201年収穫の月7日


信じられない。世間で言われてる通り、善意ってのは報われないもんだ。


セヴィウルに出て行ってくれと言ったら、ここはもう自分の家だとほざきはじめた。約束を忘れるな、邪魔をするなと言いやがった。また文句を言ったら魔法をかけられるのではないかと怖くなってきた。




第4紀201年収穫の月9日


奴が何をしていたか分かった。いやらしい、邪悪な魔法をカニどもにかけてたんだ。誤解しないでくれ。マッドクラブは人を見つければ爪で足首を折ろうとするような連中だ。それにしたってこいつはひどすぎる…


もうここには居られない。明日の朝、宿屋「ウィンドピーク」に行こう。もう戻れない。ここは呪われてしまった。



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