風と砂 | The Elder Scrolls Library | 神楽殿
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風と砂

風と砂

アファ・サリアト

風は吹くに任せよ。砂は駆け巡るに任せよ。大気と砂の魔法がアリクルを自由に漂うに任せよ。その2つを隔てる神秘の皮を通じて、私と、砂漠の力の根本を理解し得る者すべてを取り込み、語りかけよ。

砂漠はしばしば利用価値のない不毛の地と考えられ、軽装の旅行者には避けられ、ひ弱な種族には文明を築くに適さぬ場所として敬遠される。だが、手間を惜しまず調査し、家を構え、そこで暮らし、定着する者には、猛烈なたくましさが備わる。そしてそれは彼らがいかなる場所を生活の場に選んだとしても役に立つ。思慮深さは注意深さから生まれる。この事は、硬い植物からほんの数滴の水を絞り出すために、午前の半分を歩くことに費やし、さらに1時間も肉体労働をしなければならなかった人よりも、持てる力を最大限に利用する方法を知る者に、より当てはまるだろうか?

この種の節約は、このような土地から苦労の末に日々の糧を得る他のすべての生物に共通して必要だ。最初は気づかないかも知れないが、この土地の魔法も同じように影響を受けている。真のアリクルのウィザードは、サマーセットの森に住む魔術師たちが放つ派手な光と音も、ブレトンのけばけばしい身振り手振りも、ノルドの大声さえもなしで魔法をかけるのだ。そこには確かに節約の精神がある。他の魔法の流儀を否定するつもりは毛頭ない。ただ、そのようなエネルギーは内省と目的に注ぎ込んだ方が良いのではないかと述べているにすぎない。

砂について

異国の者も、そこに住む者も、砂漠と聞けば青い空の下でオレンジ色の砂が風に舞う様を想像しがちである。実際これは完全な間違いとも言えない。移動する砂は、砂漠だけではなく、砂漠の自然の魔法の重要な構成要素でもあるのだ。

よく考えてみよう。砂は風化した岩にほかならない。その岩は、土地の“所有者”を名乗るどの生物よりもはるかに年老いている。岩はそれぞれ砕けるたびにその内なる空間をあらわにし、最終的に剥き出しになった表面の集合体となる。この集合体はその後分散しては混ざり合い、また分散しては混ざり合う。ニルンが存在し続ける限り、無限の組み合わせを産み出しながら。もし岩にマグナスの贈り物の残骸が含まれていると信ずるならば… 私はそう信じているのだが、この露出と組み合わせの急激な増加は、タムリエルの他の場所では例のない、幅広く多様な魔法のエネルギーを生じさせるはずだ。

大気について

砂が周囲の1つ1つの砂粒から学習するように、砂をある組み合わせから他の組み合わせへと移行させる大気も、運んでいる砂粒が感覚から得た認識を取り込む。実のところ、大気そのものの導きで、これらの組み合わせに斬新さが産まれ、表現となっていると考えるのが妥当である。考えてみてほしい。実際ノルドの伝説においては、ショール(ロルカーンの別名)に先立たれた妻のカイネが、ムンダスに存在するショールの物理的遺産を(風によって)守るようになるのだ。天の哀悼の1つの形と考えられるが、我々定命の者もそこから恩恵を受けられる。

実のところ、例えば土地の記憶をさらに多様化させるため、広大な砂漠に新たな道を刻むに足る風の通り道を水晶で占う事によって、魔法を次の段階に導く目覚めがもたらされるのではないかとも思える。だが、砂の知識の読み取りはそれ自体が一大事業であり、いかなる経歴を持つウィザードよりも、大勢の書記官が当たるべき仕事である。

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