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タムリ゚ル図曞通

火䞭に舞う 第5ç« 

火䞭に舞う 第5ç« 

りォヌヒン・ゞャヌス 著

「せっけんだ この森は愛を食べお生きおいる。たっすぐ進め このマヌケでアホな牛め」

スコッティがゞャングルぞ降り立぀ず、すぐにその声が響いおきた。圌は、うす暗い林の空き地をじっず目を凝らしおみたが、そこから聞こえおくるのは、動物や虫の鳎き声、颚のざわめきだけだった。先ほどの声は、非垞に奇劙で颚倉わりなアクセントが぀いおおり、性別もはっきりせず、震えるような抑揚だが、人間のものであるこずは間違いないようだ。あるいは、ひょっずしたら゚ルフの声かもしれない。おそらく、1人でいるボズマヌが、たどたどしくシロディヌル語を喋っおいるのだろう。䜕時間もの間ゞャングルをさたよった埌では、どんな声でも少しは芪しみが持お、すばらしく聞こえた。

「こんにちは」ずスコッティは叫んだ。

「カブトムシの名前は 確かに昚日だった、そうだ」ず蚀う声が返っおきた。「誰が 䜕を い぀ そしおネズミ」

「あなたの蚀っおるこずがよく分からないんですが」ずスコッティは答えた。声がする方向に、荷銬車ほどの倪いむチゎの朚があり、それに向かっお「こわがらないで䞋さい。私は、垝郜から来たシロディヌルで、デクマス・スコッティず蚀いたす。戊争埌の再建のお手䌝いをしに、ノァレンりッドぞず来たした。ですが、道に迷っおしたいたしお」

「宝石の原石に、じっくりず焌かれた奎隷達  戊争」そのうめき声は、すすり泣きぞず倉わっおいった。

「戊争に぀いお䜕か知っおいるんですか 私は䜕も知らなくお。ここが囜境からどれだけ離れおるかずかも知らないんです」ず蚀っおスコッティは、ゆっくりずその朚ぞず寄っおいった。レグリりスの鞄を地面に眮き、空いた手をそこに差し出した。「歊噚は持っおいたせん。私はただ䞀番近くの街たでの行き方を知りたいだけなんです。シルノェナヌルで、リオデス・ゞュラスずいう友人ず䌚わなければならないんです」

「シルノェナヌルだず」ず声は笑った。スコッティが朚の呚りを回っおいるず、さらに倧きな笑い声が聞こえおきた。「虫ずワむン 虫ずワむン シルノェナヌルの歌は、虫ずワむンのためだ」

朚の呚りには䜕も芋぀けるこずができない。「どこなんです どうしお隠れおいるんですか」

空腹ず疲劎でむラむラが爆発し、圌は、その朚の幹をたたいた。突然、朚の空掞の䞊の方から、金色ず赀色の小さなものが飛び出しお来た。それは6぀の翌を持った数むンチたらずしかない生物で、スコッティは取り囲たれた。トンネルのようなこぶの䞡偎に深玅色の県が぀いおおり、口は垞に半分開いおいた。圌らに脚はなく、玠早く矜ばたかせおいるその矎しい薄い翌は倪っお匵り出した腹を運んでいるかのようだった。しかし、圌らは、火花が散るような速さで、空䞭を俊敏に動くこずができた。そしお、かわいそうな事務員の呚りをぐるぐる飛びながら、もはや党く意味䞍明な事を喋り出しおしたった。

「ワむンず虫、私は囜境からどれだけ離れおいるのか 孊術的矎蟞麗句、ああ、リオデス・ゞュラス」

「こんにちは、私は歊噚を持っおいなくお怖いよ。煙の巻きあがる炎ず䞀番近い街は、芪愛なるオブリビオン」

「倪っお悪い肉、藍で染めた光の茪、でも、私を怖がらなくおいい」

「どうしおあなたは隠れおるの どうしお隠れおるの 友達になる前に、私を愛しお、ズレむカ様」

自分の蚀ったこずを真䌌されるのに腹を立お、スコッティは腕を振り回しお圌らを朚の䞊ぞず远い払った。圌は足を螏み鳎らしお森の開けたずころたで戻り、数時間前にもそうしたように、レグリりスの鞄を開いお芗いた。もちろん、䜕か圹に立ちそうなものも食べられそうなものも、その鞄のどのポケットにも入っおはいなかった。あるのは、かなりの量の金(ゞャングルの䞭でも、金で問題解決できるだろうさ、ず圌は皮肉気に前ず同じく口元を歪めた)ず、おいねいに畳たれた空癜のノァネック建蚭䌚瀟の契玄曞、䜕本かの现い瞄、油を塗った防氎具。「少なくずも 」ずスコッティは思った。「雚の心配はいらないな」

雷のずどろく音が聞こえ、圌は、ここ䜕週間か思っおいたこずを確信した。自分は呪われおいる、ず。

その埌䞀時間の間、スコッティは鞄の䞭にあった防氎具を着け、泥の䞭を這うように進んで行った。森は日光を通さないが、暎颚雚には簡単に蚱しおしたう。耳に入るのは、激しく降る雚の音に、頭䞊でひらひらず飛び、戯蚀を繰り返す䟋の生物の声だけだった。圌はその生物に怒鳎り声を䞊げ、石を投げ぀けたが、圌らはスコッティを気に入っおしたったようだ。

自分を悩たす奎らに投げ぀けようずスコッティが倧きな石に手を掛けたそのずき、圌は足元がぐら぀くのを感じた。雚で地面がぬかるんでいたため突然足元がすべり、朮のようになっお、スコッティはたるで小さな朚の葉のごずく䞊䞋逆さになりながら流されお行った。泥の措氎がおさたるたで、圌は滑り萜ち、遂に、25フィヌト䞋の河に突っ蟌んだずころで停止した。

嵐は、やっお来たのず同じくらい唐突に去っお行った。倪陜が暗雲を吹き飛ばし、スコッティが海岞ぞず泳ぐ間、圌の䜓を枩めおくれた。そこにも、カゞヌトがノァレンりッドを襲撃したこずを瀺す気配があった。近くには小さな持村があったが、最近になっお打ち捚おられたのか、ほずんど掻気は無く、死にたおの屍のようにくすぶっおいた。泥で䜜られた家も荒廃しお灰に戻っおおり、か぀おはそこに積み入れられおいたであろう魚の匂いがこびり付いおいた。むカダや小船は壊れたたた攟眮されおおり、半分が氎に浞かっおしたっおいた。䜏民の姿はもはやなく、もし誰かいるのならば、死䜓か、遠くから避難しお来た者だろうず思った。䜕かが廃墟の壁にぶ぀かる音が聞こえおきた。圌は急いで調べに行った。

「私の名前はデクマス・スコッティですか」ず1匹目の翌の生えた獣が歌った。「私はシロディヌルですか ボクは垝郜から来たのですか 私は、戊争埌のノァレンりッド再建のため来たのですが、ここで迷子になっおしたったのですか」

「私は、膚れお、汚れお、猿頭だ」ずもう1匹の仲間が賛同した。「あなたはどこですか どうしお隠れおいるんですか」

圌らが喋っおいるのを尻目に、スコッティは村の他の堎所を調べ始めた。野良猫があちこちの物陰に也ききった肉のかけらや、ひず口サむズの魚肉゜ヌセヌゞなどを隠しおいた。しかし、猫たちはこんな壊滅的状態にありながらも汚れた身なりではなかった。食べ物もろくにないだろうに。歩いおいるうち、か぀おは石造りの小屋だったであろうあばら家の䞋から、䜿えそうな道具を芋぀けた。骚で出来た匓ず2本の矢だ。匊はなくなっおいた。火事で燃やされおしたったのだろう。圌はレグリりスの鞄から瞄を取り出すず、それで修理した。

その䜜業の間、あの生き物たちが、圌の頭䞊を飛び回っおいた。「聖リオデス・ゞュラスの修道院か」

「あなたは戊争に぀いお知っおいたす 虫ずワむン、黄金色の䞻人を束瞛しなさい、猿頭」

匊を匵リ盎しお、匊を胞たでき぀く匕いたたた匓を぀がえお、ぐるりず回しおみた。翌の぀いた獣たちは射手を前にした経隓があったようで、霞のほうぞ䞀目散に逃げ去った。スコッティが最初に攟った矢は、3フィヌトほど飛んで地面の䞊に萜ちた。圌は悪態を぀き、矢を拟った。マネをする生き物たちは、腕の悪い射手を前にした経隓もあったようだ。䞀床は退散した圌らはスコッティの頭䞊に戻っお来お、嘲笑した。

二回目は、技術面に限っお蚀えば、かなり䞊達した。圌はホアノォアヌの䞋から飛び出た時に、ファリネスティの射手達がどんな颚に匓矢を甚いおいたか、どうやっお党員が自分を狙っおいたかを思い描いた。䞡腕を䌞ばし、右肘を均等に匕いた。匓を匕くず右手が䞋顎をかすめた。矢が指先のように芖界のあの生き物を指しおいるように芋えた。しかし矢は的を2フィヌトほど倖し、そのたた石壁に圓たっお折れた。

スコッティは河岞を歩いおいた。もう矢は䞀本しか残されおいなかった。動きの鈍い魚を芋぀けおこの矢で仕留めるのが珟実的だず考えた。匊さえ壊れない限り、倖した矢は䜕床でも河底から持っお垰ればいいのだから。圌の前を、ひげの぀いた魚がゆったりず過ぎ去っおいき、圌はそれに狙いを定めた。

「私の名前はデクマス・スコッティ」あの生き物の1匹がうなり声をあげ、その魚を驚かせおしたった。「この、マヌケでアホな牛め お前は火の䞭で螊れ」

スコッティは、さっきず同じようにその生物を狙っおみた。今床はあの射手たちのような姿勢をずるこずが出来た。足幅は7むンチ開き、膝は䌞ばしたたた、右肩を埌ろに匕くのに合わせお巊脚は心持ち前に出す。そしお、圌は最埌の矢を攟った。

どうやら、この矢は䟋の生物をその矢で䞲刺しにしたたた廃墟の石の䞊で焌くのにも䟿利なようだ。仲間の死を目にした他の連䞭はすぐに退散しおしたったので、圌は、静かに食事を楜しむこずができた。その肉はずおもおいしく、䞀玚品のものずなんら倉わりがなかった。圌が最埌の䞀口を矢から匕き抜いおいるず、蛇行した河の向こう偎から1隻の船が近付いお来るのが芋えた。舵を握っおいるのはボズマヌの船員だった。圌は、急いで岞に走り寄り、手を振った。圌らは、顔を背けたたた通り過ぎお行っおしたった。

「なんお残忍で冷酷な奎らだ」ずスコッティはわめいた。「この、悪人、悪党、悪挢、猿頭め」

そのずき、灰色の頬ひげの男が1人、ハッチから顔を出した。すぐに、それがグルィフ・マロン、シロディヌルからのキャラバンで䞀緒だったあの詩人兌翻蚳家だったず分かった。

マロンは圌のほうをじっず芋おすぐに喜びで目を茝かせお蚀った。「スコッティ 君に䌚えお嬉しいよ。そうだ、ムノリアダ・プレむ・バヌの難解な䞀節に぀いお考えを聞かせおいただきたい『䞖界に涙を流そう、䞍思議な事物を求めお』で始たるのです。もちろんご存知でしょう」

「グルィフ、もちろんムノリアダ・プレむ・バヌに぀いおお話ししたい」ずスコッティは返した。「ではたず、その船に乗せおくれたすか」

どんな枯を目指しおいようが船に乗り蟌めたこずに喜んでいようが、スコッティは玄束を守る男であった。この船がボズマヌの村々の焌け焊げた廃墟を通り過ぎながら河を䞋っおいく間、圌は、䜕の質問もここ数週間の身の䞊話もせずに、マロンのアルドメリ神話の密矩に関する自分なりの解釈をじっず聞いおいた。圌は、孊術的知識を芁求するこずなく、単に頷いたり肩をすくめおみせたりするのも、教逊ある䌚話の方法ずしお受け取っおくれた。しかも、䞊の空にしおいる圌にワむンや魚肉れリヌさえ振る舞いながら、いく぀もの論文を䞊べお講釈を垂れるのであった。

マロンが些现な匕甚をノヌトに探しおいるずき、ようやくスコッティは質問した、「講釈の内容には劣るのですが、この船は䞀䜓どこに向かっおいるんでしょう」

「この地方の䞭心地区、シルノェナヌルですよ」読んでいる䞀節から目も離さずに、マロンは答えた。「ちょっず厄介なのは、僕はたずりッドハヌスで、ディリス・ダルミルヒアッドが曞いたものの原本を持っおいるずいうボズマヌに䌚いに行きたかったんです。信じられたす そうは蚀っおも、こうしお埅っおいる他はないんですが。ずころで、サマヌセット島は郜垂を包囲しお、あそこが降䌏するたで䜏民たちを飢えさせ続けるようです。いやな想像ですが、ボズマヌは、喜んで共食いするでしょうね。最埌に残った1人の倪ったりッド゚ルフが旗を掲げるこずになる危険がありたすよ」

「たったく面倒な話です」スコッティも同じ気持だった。「東の方では、カゞヌトが䜕もかも焌き払っおいる。西の方では、ハむ゚ルフが戊いを始めおいる。北の境界は倧䞈倫なのでしょうか」

「もっず悪いですよ」ずいくらかこちらに気を向けお、マロンは答えた。「シロディヌルずレッドガヌドは、ボズマヌの避難民を受け入れたがっおいない。もちろん、理由はある。圌ら避難民は家も無ければ食物も無い。そんな圌らを受け入れたら、どれだけ犯眪が増えるこずか」

「そうですね」ずちょっずした寒気を感じながら、スコッティは呟いた。「どうも、ノァレンりッドに足止めされおいるようですね」

「たったくだ。出版瀟の方に新しい翻蚳本の締め切りが近いず蚀われおいるので、早く行きたいのだが。シルノェナヌルに特別囜境譊備の請願曞を出せば、無事にシロディヌルに戻れるようですよ」

「シルノェナヌルに請願するのですか それずも、シルノェナヌルで請願するのですか」

「シルノェナヌルでシルノェナヌルに請願するんです。この地方独特の奇劙な蚀い回しで、翻蚳家ずしおも興味をそそられるずころです。それで、シルノェナヌルずいうのは、圌、いや、圌らず蚀った方がいいず思うが、圌らは、ボズマヌ達に最も近しい指導者なのです。で、圌らに぀いお芚えおおくべきこずは 」ずマロンは笑みを浮かべお、ずある䞀節を探り圓おた。「これだ。『14の倜、䞍可解な、䞖界は螊りだす』これもたた比喩ですな」

「シルノェナヌルに぀いお、䜕ですっお」ずスコッティは尋ねた。「芚えおおくべきこず、ずいうのは」

「そんなこず蚀ったかな」マロンはそう返すず、講矩の続きに戻っおしたった。

それから1週間、船は浅瀬に䜕床かぶ぀かりながらも、ザむロ川の氎面を泡立おながら緩やかに進んで行き、スコッティはシルノェナヌルの街を初めお目にするこずが出来た。ファリネスティが1本の朚ならば、シルノェナヌルは䞀茪の華である。緑、赀、青、癜の萜ち着いた陰圱が壮倧に積み重ねられお、氎晶で出来た他の郚分ず共に茝いおいる。途端に、マロンは䜕も芋ずにたくし立お始めた。こんな颚にするのは、アルドメリの䜜詞法を解説する時くらいのものだ。「この街はこうしお森の開けたずころに華を開いおいるのだが、これは、䜕かの魔法や偶然によるものではない。ず蚀うのも、ここに生えおいた朚々が半透明の暹液を流しお、その暹液でこうしお華やかな色の朚々が固められお、そしお、そこに街䞊みが造られたのです」そのマロンの説明は興味深いものだったが、スコッティには、この街の矎しさを堪胜しおいる䜙裕は無かった。

「すみたせん、このあたりで䞀番豪華な宿屋は」ず圌は、ボズマヌの船員に尋ねた。

「プリサラホヌルですよ」マロンが答えた。「私も䞀緒に泊たっおいいですか この近くに、知り合いの孊者がいるんです。䌚えば、きっず君も気に入るず思うな。圌の家は家畜小屋みたいですけど、アルドメリ神話の氏族、぀たりサルマチに぀いおは独自の解釈を持っおいお--」

「状況が違えば、喜んで䜕でも受け入れるのですが」ずスコッティは埮笑んで蚀った。「でも、この数週間、ずっず地面や小汚い船の䞭で眠ったり、食べられる物は䜕でもかき集めたりしなくちゃならなかったんです。おたけに、忌々しい翌を生やした生き物にも、随分ず寛倧な態床で臚たなくちゃならなかった。明日か明埌日あたりにはシロディヌルぞ安党に垰れるように、シルノェナヌルに頌みに行っおみたす」

2人は互いに別れの挚拶を亀わした。マロンは垝郜にある出版瀟の䜏所を教えたが、スコッティは迅速にそれを忘れるこずにした。スコッティはシルノェナヌルの街䞊みをぶら぀いたり、琥珀色の橋を枡ったり、石化した朚々で出来た家々に感心したりした。そうしお、銀色に茝く氎晶で造られた、ずりわけ立掟な豪邞を芋぀けた。そこが、プリサラホヌルであった。

圌は最䞊玚の郚屋を頌むず、これも最䞊玚の食事を倧量に頌んだ。圌の着いたテヌブルの近くでは、ひどく肥えた2人の男、1人はシロディヌルでもう1人はボズマヌだが、ここの食事ずシルノェナヌル宮殿のものずどちらがおいしいかの議論を亀わしながらも、議論の䞻題は、珟圚の戊争や資金繰りの問題、そしお、この地方の橋の再建ぞず移っお行った。片方の男がスコッティの芖線に気付いたのか、圌の方を芋返すず、䜕かに気付いたような目぀きになった。

「スコッティか なんおこった、どこにいたんだ ここいらの契玄、俺1人で取りたずめなくちゃならなかったんだぞ」

その声には聞き芚えがあった。その倪った男はリオデス・ゞュラスで、やたらず食べおいた。

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