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大エルベロンの日記、第2巻



色鮮やかな春が私を出迎えた。金属や石でできた部屋に、美しい花々が咲き誇っていた。至る所に野性的で攻撃的な花が咲き、床を覆い、不幸な死体がいくつも転がっていた。この恐ろしく美しい光景は、すぐに息苦しさによって阻まれた。様々な花から吐き出された濃く有毒な花粉がそこら中に漂っていたのだ。ドゥーマーは地上の植物にアレルギーがあり、春を苦痛の季節としか見ていなかったのかもしれない。傭兵たちが咳き込み嘔吐する中、体質に優れた私は人工森の中でうごめく奇妙なスプリガンたちに気づいた。スプリガンたちが通った場所は植物が後退し、空気が浄化され呼吸できるようになっていた。あのスプリガンたちは庭園の番人だったのか、それとも庭園によって生まれた生き物だったのか? いずれにしろスプリガンたちの後を追い、遺跡のさらに奥へと進むことができた。



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