top of page
亡霊目撃
リーチの奇妙な話はたくさん聞いている。魔女が人をカエルにするとか、熊のように大きなオオカミとかそういう話だ。古い騎士の墓とリーチにとりついた亡霊の話もある。
さて、いつもならそんな話など聞き流すところだ。酒瓶を開けるほど、話ってのは大きくなるもんだしな。
だが、昨晩見たもので考えが変わった。私はダシュニク・ヤルに向かって南を目指していた。野営地を設営して、翌朝丘を採掘するつもりだった。ちょうど川を渡ったところで、霧の中から何かが現れたのを見た。
物語の通りだった。彼は月の光で降りてきたかのようだった。彼が見え、同時に透けて見えた。それだけではない。彼は私が見たこともない鎧を着ていた。そして丘についてくるように命じて来た。
だがそんなことするもんか。代わりにナップサックを捨て、尻尾を巻いて逃げ出した。臆病者と呼んでくれ、ミルク飲みで結構だ。死者についていって、いいことなんかあるわけない。どんな男も行きたがらない場所だってあるさ。