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安らがぬ者



安らがぬ者



著者不明




帝国に挑んだ海賊の話を聞いたことがあるだろうか?


きっと聞いたことがあるはずだ。絞首台のロープや歴史のペンを持ってしても、「眠らぬ同盟」を抹消することなどできない。帆を上げて海に繰り出す限り、乗組員たちがストロス・エムカイの英雄サイラスの舟唄を歌い続ける。


だが戦いの後、サイラスはどうなってしまったのか? ただの物語だったらそこで本は終わりだが、人生には蛇足が付き物だ。


ある者はサイラスが西に向かい、未踏の地を目指したと言う。またある者は伝説の船デッドマンズ・ドレッド号を操り、トビアスの物語に惹かれて北に向かったと言う。亡霊の海であらゆる財宝を追い求め、やがて巨万の富を築き上げ、穏やかな海で余生を過ごしたという話だ。


この財宝は、今や忘れ去られた謎となっている。ブラックボーン島の噂を耳にするだろうが、その島は地図に載っていない。場所を知っていたと言われる最後の男は、ケヴォンという海賊だった。だがしがないお尋ね者だったケヴォンは、財宝の運命を背負ったままドール城の地下牢で死んだ。


変わった結末だが、この物語にはまだ続きがあるのかもしれない。男の黄金探しは自由への願いと同じく、尽きることも眠ることもないのだから。



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