彗星

[W・E・B・デュボイスは作家、人権活動家、社会学者などとして有名だが、SFの短編小説を執筆していたことはあまり知られていない。以下は1920年に執筆された「ザ・コメット」の一部抜粋である」

地平線の近くに見えた長く白い星は神秘的で美しかった！そこからウェディングベールのような青白い炎が上へと伸び、世界を照らし星に闇を落とした。唖然とした男は天を見上げ、持っていたロケットを床に落とした。頭の片隅で眠っていた記憶という記憶が蘇り、頭の中で渦巻いた。魂の鎖がガタガタと落ちていくようだった。はるか昔に死んでいった王たちが震える玉座から立ち上がった。高くまっすぐ、その眼に威厳と力を宿して影の中から立ち上がり、浮遊する枝をその手に引き寄せた