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この世は如何にして終わるか

[以下はカミーユ・フラマリオンの1894年の作品「オメガ:最後の日々(この世は如何にして終わるか)の書き出しである。25世紀に星が地球と衝突することとなり、人々は世界の終わりと、その本当の意味と向き合うことになる]



オメガ:

最後の日々


第1章

ルー・ド・レンヌとルー・ド・ルーヴルを結ぶ大理石の橋には著名な科学者や哲学者の像が並ぶ。インスティテュートの真新しい柱廊式の入口へと続く大通りを引き立てるものであったが、この日、橋は人ごみで真っ黒になっていた。


群衆は歩いているというより、さながら波のように岸壁に沿ってうねり、あらゆる通りを抜け、騒々しい人波に踏み荒らされるようになってしばらく経つその入口へと押し寄せている。


ヨーロッパ合衆国の憲法制定以前の野蛮な時代... 力こそが正義であり、軍の主義の専制政治が世界を支配し、愚かな人類が無慈悲な戦禍の魔手に震え上がったあの時代... 偉大な革命の嵐が巻き起こる時代、あるいは宣戦布告を告げた激動の日々より前に、人民の代表者からなるコンコルド広場の試みがあれほどの騒乱を引き起こしたことはなかっただろう。


それは例えば、旗の下に集う狂信者の一団が、世界征服に向けて行進し、物見遊山の暇を持て余した野次馬たちがぞろぞろと後に続いて行くのとはワケが違った。


不安、焦燥、恐怖の感情を抱いた社会のあらゆる階層の民衆が分け隔てなく、預言者の決断にすがりつく。


そしてまさにその月曜日の午後3時に、科学アカデミーの総会にて、高名な天文学者が宣告することとなっていた演算の結果を熱に浮かされたかのように待ちわびていたのだ。


政治と社会の奔流の中で、インスティテュートは生き残った。


ヨーロッパの科学、文学、および芸術における至高の立場を維持しながら。


しかしながら、文明の中心地は西に移り、進歩の焦点は北アメリカのミシガン湖の岸辺に輝くこととなったのである