荒涼館

第1章

大法官裁判所

ロンドン。ミカエル学期が終わったばかりの頃、リンカン法曹学院のホールでは大法官が座っていた。11月の過酷な気候の中、まるで地球から海がすべて引いたばかりかのように街に泥が溢れ、10メートル以上ものメガロサウルスが大きなトカゲのようにホルボーン・ヒルをよたよた登っていくところに出くわしても不思議ではない。煙突からは煙が下りてきて、雪ほどの大きさのすすが混ざって黒い小雨を降らせている。太陽が死んで喪に服しているかのようだ

犬たちは判別ができないほど泥に浸かっている。馬もほとんど同じ状態で、遮眼帯にまで泥が付いている。通行人たちは互いに不機嫌を伝染させ、傘をぶつけ合い、街角で足を滑らせている。ここでは夜明けから(明けたと言えるのか分からないが)何千何万もの人が足を滑らせ、どんどん新しい泥を飛ばし、それらは道路にしっかりと貼り付いて積み重なっていく

「一部専門家がチャールズ・ディケンズの最高傑作と言う「荒涼館」は、イギリスの司法制度を痛烈に批判する風刺である］