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カザール硫黄鉱山のパソコン:リン

DATA

01::帰ってきた


さて、まただ。また”希少鉱物の仕事”だ


今度は硫黄だ。硫黄は覚えているよな? 危険で可燃性があって、叫ぶ間もな宇宙服のシーリング材をかしてしまうガス状の噴煙に、ふんだんに含まれているやつだ。文字どおり、地獄の業火だ


宇宙全体で10番目によくあるミネラルでもあるからヴァルーン家の庭先までこんなものを掘りにきただなんて思ってる奴は仲間に一人もいないだろう"希少鉱物なんて"よく言うよ


だがバレットとニュー・アトランティス社交クラブの連中は、配慮する分の料金も払ってくれている。だから我々は硫黄を掘る


そして"異常"とやらが、誰も怪我しないうちに出現してくれるよう、天に祈っている





02::準備完了


20日間、一日3シフト。それがこのデタラメな施設で黄色いカスを採掘できるようにするまでにかかった時間だ。補強材を沈めるだけでも一週間の大部分を費やした。我々がガスの流出を引き起こしていて、開始前に全員死ぬことがないのを確かめるためだけに


コンステレーションとかいう連中は天文学的な金を使っているようだ。スキャン技術だけでも、UCの極秘プロジェクトから拝借しているように見える。この異常が何であれ、すごいお宝なんだろう


それほど高価なら、探していること自体を知られたがらないのもうなずける





03::最初の避難


今日、初めての緊急避難をした。誰かが掘るべきでないところを掘り、二酸化硫黄が噴き出したそうだ。彼のヘルメットは持ちこたえたが、シーリング材は跡形もなく溶けてしまったらしい


監督は彼が窒息する前にハブに連れ帰ることができたが、ひどい状態だった。容体を安定させ、ヘラーに最寄りの医療施設へ連れて行かせた... 50光年は離れたアキラにあるやつだ。どうも彼は生き延びて、完全に回復するようだ


バレットの仲間が、いい保険を用意しておいてくれたことを願っている





04::訪問者


私はここに座って、心拍数が4桁の大台から下がるのを待つためにこれを書いている


今日、船体アラームが鳴った。ヘラーがアキラへ往復したことで、近くの連中の注意を引いてしまったんだろう。その連中とは、船一杯のヴァルーン狂信者どもだった


アラームが鳴った時、大半のクルーはシャフトAから出ていた。施設に残っていたのは私とジェンキンスだけだった。私はすぐに作業を停止させ、無線を遮断し、全力で発電機に走って行き停止させた。そしてジェンキンスと私は宇宙服に向かって走り、息を止め、辛うじて外部のキャットウォークの下に身を隠した。ちょうどその時、最初の狂信者が階段にやってきたところだった


最初の奴はおそらく奴らの船長だったんだと思うが、頭のすぐ上にきて、我々がいたエアロックに奇妙な銃器を向けた。これほど狂信者に近づいたことはなかった。彼らの宇宙服は渦巻模様に包まれていた。それは彼らを... そう、非人間的に見せていた。そして、戦闘による傷は彼が幾多の戦闘を潜り抜けてきたことを示していた


そして狂信者の戦士たちが我々の真上に立ったまさにその時、ジェンキンスがしゃっくりをした


船長が動きを止めた。彼は副官を振り返った


"静寂"


彼らはここが放棄されたというのを信じたようだった。彼らはここに立ち寄り、食糧、弾薬、残っていた銃器を奪うと、立ち去った


この事件のおかげで3つの必要なことが浮き彫りになった


1.我々にはより多くの銃とそれを使った訓練が必要であること

2.我々にはこの異常を以前に見つけておくべきだったこと

3.機会があり次第、、ジェンキンスを宇宙に放り出すこと





05::発見!


見つけたぞ!ハレルヤ、やっとだ、見つけたんだ!


今日まで、我々は鉱物の異常を探していた。周りのものとかけ離れた岩や金属を探していた


だが今日、ガス噴射の警報を鳴らすために設置したある地震計が妙な動きをしているのにジェンキンスの後任が気付いた。シャフトAの入口のところで重力が低下しているようなのだ


そこをスキャンすると、まさに探せと言われていた特徴そのものが現れた


そして、回収はそこから複雑になってくる。人々を集め、彼らがほっているのはガス鉱脈だったといいくるめ、一帯には近寄らせないようにする


彼らがそうしているうちに、バレットを呼ばなければならない。そうすれば、我々はようやくこの神に見捨てられた岩から逃れられる





06::おしまい


終わった。異常は発見され、雇い主の所有物となった。私はバレットを自ら現場に案内し、2人で回収に行った


いや、少なくともそうするつもりだった。洞窟の入口に着くと、バレットがこちらを向いて言った"ここは危ないかもしれない。ハブに戻ったらどうだ?"


危ないだって? まさか!だがお客様は神様とかなんとかだ、だから、私は引き返して施設で仲間と待った


そして我々は待った


さらに待った


それでも待った


数時間は過ぎたと思われた頃、彼はついに転がるようにしてエアロックに戻ってきた。まるで幽霊を見たような顔をしていたが、にんまりと笑みを浮かべていた。探していたものを見つけたと彼は言った。だが、下にいるうちに硫黄を吸い込みすぎて失神したのだと言う


彼は明らかに嘘をついていた。何かが起きたのだ。だが、それがやっとのことでここから離れられるということを意味するなら、異論をはさむ気はなかった





07::店じまい


持ち出せる機器はすべてこの星から搬出した。残っているのは、ここから運び出すのにかかる費用に見合わないものだけだ


おめでとう、コンステレーション。君たちは私が働く不名誉を得た星の中でも屈指の醜悪な星に、醜い傷跡を残した


彼らから二度と連絡がこないように願っている



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