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ロレンゾ・カボットの日誌


1894年2月8日、木曜日。ケープコッド沖、汽船ウェイクフル号船上。


ついに出航した。エモジーンとウィルヘルミーナが見送りに来て、エモジーンはいつものように行かないでくれとせがんだ。かわいそうに、こういう別れは彼女にとってつらいんだ。ジャックはもちろん立ち会わなかった。彼は私がこういった遠征に出ることで家族全員を笑いものにしていると思い、彼の言う「古臭い迷信」に使う時間などないわけだ。構わないさ。今回はジャックですら否定できない証拠を持ち帰ってやろう。


1894年2月10日、土曜日。大西洋、汽船ウェイクフル号船上。


天気は上々で、船長はリスボンに速やかに到着できると断言している。この遠征の手配にまつわるお役所仕事にはあと少しで堪忍袋の緒が切れそうだったが、オマーン当局から必要な許可を国務省から取得したのは賢明だったはずだ。着いた時に書類の束(そして現金)で地方役人をなだめられることを願うしかない。


1894年2月21日、水曜日。西地中海、汽船ウェイクフル号船上。


ここまでは順調。平穏な航海だ。リスボンではメッテルニヒが待っていた。彼が電気感知装置を完成させ、それが木箱に収められて船に無事搬入されたという吉報を持っていた。彼の主張通りの性能なら、発掘作業は数週間か、もしくは数ヶ月も短縮できるかもしれない。


1894年3月5日、月曜日。スエズ、エジプト。


まだ発掘作業員チームの雇用が完了するのを待っている。早く出発したくて気もそぞろだ。現地まであとほんの少しだ。だが長い経験から、地元民を当てにするよりも経験豊かなエジプト人チームの方がうまくいくと分かっている。


1894年3月14日、水曜日。サラーラ、オマーン。


やっとだ! 昨日港に着き、大急ぎで積荷を降ろしている。これ以上遅延すれば、夏の猛暑が過ぎるまで延期しなければならない危険が出てくる。


1894年3月16日、金曜日。ワジ・エイダム近く、オマーン。


現地に向かっている。行く手に立ちはだかるのは、果てしなく続く砂漠と古代の秘密だけだ。ハハ! 今まで乗り越えねばならなかった数々の遅延や書類をかき混ぜる役人どもと比べれば、たわいもないことだ。


1894年3月29日、木曜日。空白の大地、アラビア。


つつがなく現地入りした。現地ガイドがブツブツとぼやいていた迷信は、よい兆しと受け止めよう。明日メッテルニヒの装置が使えるかどうかを試す。だめなら、昔ながらの方法で発掘を始める。


1894年3月30日、土曜日。空白の大地、アラビア。


メッテルニヒの装置は不安定だ。精巧な構造に砂が入ったに違いない。それでも南方の窪地で見込みのありそうな数値が測定された。日中の暑さは凄まじい。明日作業を開始して、何があるか確かめよう。


1894年4月2日、月曜日。空白の大地、アラビア。


南方の窪地ではまだ収穫がない。メッテルニヒは測定の誤作動ではないと断言している。あと2日したら、残念ではあるが、現場全体のグリッド調査を始めねばなるまい。


1894年4月3日、火曜日。空白の大地、アラビア。


成功だ! 今日の午後遅くに、発掘作業員が加工された石を掘り当てた。どうやら巨大な円形の構造物の端らしい。またガイドが文句を言っている。地元で作業員を雇わなかったのが英断だったことがさらに明白になった。なぜなら作業員達はガイドにほとんど注意を払わないからな。


1894年4月6日、金曜日。ウーバー、空白の大地、アラビア。


間違いなくウーバーを発見した! 古文書と合致するルーン文字が書かれた断片的な碑文が数点見つかった。巨大な広場と見られるものの一部を掘り出したことは著しい進展だ。


1894年4月18日、水曜日。ウーバー、空白の大地、アラビア。


作業はすべて中断している。かつて遭遇した中で最悪レベルの砂嵐だ。我々は巨大な露頭の風下にあるテントの中で身を寄せ合い、どうにか切り抜けることを願うしかない。午前中なのに完全な暗闇の中にいる。


1894年4月20日、金曜日。ウーバー、空白の大地、アラビア。


砂嵐は3日目に入った。いまだかつてない嵐だ。ガイドは非常に厄介になってきた。彼が語る太古の呪いや禁断の秘密に関する馬鹿げた話に耳を傾ける作業員も出てきた。普段は冷静なメッテルニヒですら重圧で心が折れそうな様子を見せ始めた。


1894年4月21日、土曜日。ウーバー、空白の大地、アラビア。


砂嵐は去ったものの、2週間で作業を終えねばならない。我々が掘り出した区画は今や数フィートの新しい砂に埋まっている。ガイドは夜の間に姿を消した。彼がいなくても私は構わないが、発掘作業員達はますます落ち着きをなくしている、


1894年5月3日、木曜日。ウーバー、空白の大地、アラビア。


大神殿の土台と見られるものを発見した! 現在は石とがれきだけだが、何か残っているはずだ。天候は日に日に悪化している。メッテルニヒは冬に作業を再開しようと言っているが、聞き入れるつもりはない。あとほんの少しだと言うのに。


1894年5月13日、日曜日。ウーバー、空白の大地、アラビア。


記憶が鮮明なうちに、全て書き残すべきだろう。明らかに人類文明の遺物ではない王冠が目の前にあっては集中するのが難しいが、私ですら本当にこんなものが手に入るとは信じられない。だができるだけ明確に事の次第を書き留めよう。


大神殿下部の柱身の発掘に少なくとも1週間を費やした。発掘作業員ですらその興奮を感じていた。そして硬い石に当たった。それが地下道を塞ぐ巨大ブロック(のちに連続したブロックだと判明した)で、建築者が意図的に封鎖したことは明らかだったが、通り抜けることはほぼ絶望的と思われた。ここで爆発物を使うわけにはいかなく、骨の折れる掘削作業は3日に及んだが! そして暗闇への突破口が開いた。


私は最初に入った。長年の塵がすべてを覆っていた。そこは間違いなく地下墓地で、部屋の一角に棺があった。蓋を持ち上げて中を見ると、私ですら衝撃で膝をつきそうだった。手伝いの発掘作業員達は逃げ出した。メッテルニヒは蒼白になり、心臓発作を起こしたかと不安になった(幸運にも大丈夫だった)。


朝が来たら墓所の全目録を作成する。一晩そこを封鎖するよう命じた。作業員にまたそこに入る勇気があるとは思わないが、用心に越したことはない。遺体や他の遺物はいじらずに、敬意を持って王冠だけを持ち出した。

これこそ、私が正しかったことの証明だ! それがかつて発見されたどんな人類の遺物よりも古いことは確かだが、王冠はまるで新品のように輝いている。


追記:


この町の名前がウーバーではなく、そしてこの建造物が神殿ではなく、その下にあったものが墓場ではないことが判明した。これから学ぶことも、ウィルヘルミーナとジャック、エモジーンに教えることも山ほどある。次に来る時は、家族全員で来よう。


5月14日、月曜日


メッテルニヒは今朝、王冠を被っている私を見て愕然とした。そして発掘したすべてを埋めるよう私が作業員に命じると反論した。もうそれはどうでもいい。誰かが偶然この遺跡を見つけるころには、我々の痕跡は砂嵐がとっくに消し去っているだろう。そして町の位置は私の胸に秘めておく。再び訪れてその秘密を暴く、その準備ができた時まで。



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